アラサーにダメージを与えるSS
- 2016/07/11
- 13:54
古い友人から電話があった。
あの乱暴な女も、半年後にはママになるのだそうだ。
「おめでとう」
たしかに、心から言ったのだと思う。
電話を切り、物思いに耽る。
かつて隣にいた人は、今もどこかで元気にしているのだろうか。
憂鬱さをごまかすためにテレビを付けた。参議院議員選挙に勝った今井絵里子が笑顔で映っている。
彼女の隣には息子がいた。11歳なのだそうだ。
反射的にテレビを切る。
ペットボトルの水を飲んだ。潤いゆく喉の奥には、カサカサに乾いた何かがあった。何かは分からない。
水を呷り、鏡を見る。
いや、本当はもう分かっている。色々と取り返しがつかないことも。思い出に浸っても、セピア色の景色が色付くわけではないことも。
「ごめん」
ペットボトルから唇を離すと、そんな言葉が漏れていった。
鏡に映る自分が、やけに無様だった。
窓から差し込む陽が眩しい。
空では調子づいた太陽が睨みをきかせていた。
「ごめん」
同じ言葉を呟くと、俺はまた眠りについた。
あの乱暴な女も、半年後にはママになるのだそうだ。
「おめでとう」
たしかに、心から言ったのだと思う。
電話を切り、物思いに耽る。
かつて隣にいた人は、今もどこかで元気にしているのだろうか。
憂鬱さをごまかすためにテレビを付けた。参議院議員選挙に勝った今井絵里子が笑顔で映っている。
彼女の隣には息子がいた。11歳なのだそうだ。
反射的にテレビを切る。
ペットボトルの水を飲んだ。潤いゆく喉の奥には、カサカサに乾いた何かがあった。何かは分からない。
水を呷り、鏡を見る。
いや、本当はもう分かっている。色々と取り返しがつかないことも。思い出に浸っても、セピア色の景色が色付くわけではないことも。
「ごめん」
ペットボトルから唇を離すと、そんな言葉が漏れていった。
鏡に映る自分が、やけに無様だった。
窓から差し込む陽が眩しい。
空では調子づいた太陽が睨みをきかせていた。
「ごめん」
同じ言葉を呟くと、俺はまた眠りについた。
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