その人、痴漢です→からの「ジャスティス」無料配布
- 2016/07/09
- 00:11
「その人、痴漢です」
「えっ……」
さっきまで復讐の炎に燃えていたワーナーは間抜けな声を出す。
「その人に、痴漢をされました」
「なんだと。それは本当か?」
「え? 違……」
「言い訳をするな! 貴様を逮捕する!」
「痴漢は犯罪だ!」
わたしの機転で、ワーナーはあっという間に取り囲まれた。複数の警官にボコボコにされながら「違うんだ」とか「この卑怯者」とか言っていた気がするけど、彼はもっと卑劣なことをデイジーにやったのだから文句を言う資格は無いと思う。
(拙著「地獄のリベンジメン」より抜粋)
上記の元ネタですが、関東圏で出ているJRの痴漢撲滅ポスターのパロディなんですね。
東京にお住まいの方は一度ぐらい見た事があるのではないでしょうか?

多分誰も拾えないであろう皮肉を最新作に仕込んだのですが、このポスターって明らかに大げさじゃないですか。まるでテロリストを見つけたかのような(笑)。
個人的に邪推したのですが、これは「痴漢はれっきとした犯罪である」という表のメッセージとともに、その裏側では「シリア問題とかTPPをほったらかしにして目の前の痴漢に注意力を全部持っていかれてしまう残念な日本人」を皮肉った意味もあるんじゃないかと(笑)。もちろん、そんな質問に作者は答えられるわけないでしょうけど。
これは「ゑぐゐ道徳」も絡んでくるんですけど、私は世間一般の正義感に疑問を感じている部分がありまして、本当はもっと根本的な部分にコミットしないといけないのに、「とりあえずシバきやすい奴から正論でメッタ打ちにしていこう」みたいなちゃちい自己満足を感じてしまうのですね。
そういうものをからかうわけじゃないですけど……いや、メチャクチャ馬鹿にしてるか(笑)。あんまりいい傾向ではないですよね? 魔女裁判をそこら中でやって、本当に討つべき悪をスルーしてしまっているのですから。極めて幼稚な感覚に現代人は陥りつつあるのだと思います。
そういう部分に警鐘を鳴らす作品を書きたいなという事で昨年に執筆したのが「ジャスティス」ですね。争いや憎しみ、そして悲劇を生むのは悪ではなく善意なのですよ、という意味合いでね。
ところが婉曲的に書きすぎたのか、どうにも一般人の感覚には届かなかったようなので、もっと露骨な形で同じテーマについて語ったのが「ゑぐゐ道徳」ですね。正義は白か黒ではないのですよ、と。
最近は「地獄のリベンジメン」ばかりが注目されているような気がしますが、「ゑぐゐ道徳」はずっと書きたかった作品でもあるんですよね。折羽さんのイラストとの相性も良かったし。
話は逸れましたが、どんな正義を行使するにしても手段は選ばないとダメですよって事を伝えたくて、今まで紹介してきた作品を書いてきました。
これ、黙っていようかと悩んだのですが、冒頭のやり取りは世間の風潮そのものを皮肉ったんですよね。
殺人未遂が目の前で起こっているのに、「その人、痴漢です」の一言で比較的どうでもいい罪を犯した容疑者を大勢で締め上げるという(笑)。多分何も言われずに拾えた人は皆無だと思います。
そんな事も絡めて、この三作は楽しんで欲しいですね。
というわけで、土曜日の7月9日午後5時あたりから三日間にわたり「ジャスティス」を無料配布します。「ゑぐゐ道徳」に出てくる怨霊は「ジャスティス」に出てくる二人なので、併せてお楽しみ下さい。
「えっ……」
さっきまで復讐の炎に燃えていたワーナーは間抜けな声を出す。
「その人に、痴漢をされました」
「なんだと。それは本当か?」
「え? 違……」
「言い訳をするな! 貴様を逮捕する!」
「痴漢は犯罪だ!」
わたしの機転で、ワーナーはあっという間に取り囲まれた。複数の警官にボコボコにされながら「違うんだ」とか「この卑怯者」とか言っていた気がするけど、彼はもっと卑劣なことをデイジーにやったのだから文句を言う資格は無いと思う。
(拙著「地獄のリベンジメン」より抜粋)
上記の元ネタですが、関東圏で出ているJRの痴漢撲滅ポスターのパロディなんですね。
東京にお住まいの方は一度ぐらい見た事があるのではないでしょうか?

多分誰も拾えないであろう皮肉を最新作に仕込んだのですが、このポスターって明らかに大げさじゃないですか。まるでテロリストを見つけたかのような(笑)。
個人的に邪推したのですが、これは「痴漢はれっきとした犯罪である」という表のメッセージとともに、その裏側では「シリア問題とかTPPをほったらかしにして目の前の痴漢に注意力を全部持っていかれてしまう残念な日本人」を皮肉った意味もあるんじゃないかと(笑)。もちろん、そんな質問に作者は答えられるわけないでしょうけど。
これは「ゑぐゐ道徳」も絡んでくるんですけど、私は世間一般の正義感に疑問を感じている部分がありまして、本当はもっと根本的な部分にコミットしないといけないのに、「とりあえずシバきやすい奴から正論でメッタ打ちにしていこう」みたいなちゃちい自己満足を感じてしまうのですね。
そういうものをからかうわけじゃないですけど……いや、メチャクチャ馬鹿にしてるか(笑)。あんまりいい傾向ではないですよね? 魔女裁判をそこら中でやって、本当に討つべき悪をスルーしてしまっているのですから。極めて幼稚な感覚に現代人は陥りつつあるのだと思います。
そういう部分に警鐘を鳴らす作品を書きたいなという事で昨年に執筆したのが「ジャスティス」ですね。争いや憎しみ、そして悲劇を生むのは悪ではなく善意なのですよ、という意味合いでね。
ところが婉曲的に書きすぎたのか、どうにも一般人の感覚には届かなかったようなので、もっと露骨な形で同じテーマについて語ったのが「ゑぐゐ道徳」ですね。正義は白か黒ではないのですよ、と。
最近は「地獄のリベンジメン」ばかりが注目されているような気がしますが、「ゑぐゐ道徳」はずっと書きたかった作品でもあるんですよね。折羽さんのイラストとの相性も良かったし。
話は逸れましたが、どんな正義を行使するにしても手段は選ばないとダメですよって事を伝えたくて、今まで紹介してきた作品を書いてきました。
これ、黙っていようかと悩んだのですが、冒頭のやり取りは世間の風潮そのものを皮肉ったんですよね。
殺人未遂が目の前で起こっているのに、「その人、痴漢です」の一言で比較的どうでもいい罪を犯した容疑者を大勢で締め上げるという(笑)。多分何も言われずに拾えた人は皆無だと思います。
そんな事も絡めて、この三作は楽しんで欲しいですね。
というわけで、土曜日の7月9日午後5時あたりから三日間にわたり「ジャスティス」を無料配布します。「ゑぐゐ道徳」に出てくる怨霊は「ジャスティス」に出てくる二人なので、併せてお楽しみ下さい。
スポンサーサイト