ホラーアンソロジーで地味に気を遣った事

先日リリースした「春禍秋冬: ~ｋｄｐ名鑑ホラーアンソロジー~」、ランキングを見る限りではザクザク売れているみたいで嬉しいです。ランキングのチェックがてらに如月恭介氏の「エターナル」と「エンジェル」の売れ行きもチェックしてみたらもっと売れている（ランキングが３ケタ台でしたね）ので驚きました。こうやって個人作家にとっていい流れが出てくると他人事でも嬉しいですね。

さて、今回はまた「春禍秋冬: ~ｋｄｐ名鑑ホラーアンソロジー~」の裏話ですかね。裏話ってほど大層なものでもないですが。

今回の作品集はホラーじゃないですか。そして、私はサイコ物を担当する事が決まっていたのですが、その時地味に気をつけていた事があります。それは、なるべく残酷描写をせずに読者へ恐怖を与える事ですね。

私の作品は描写のえげつないものが多いですが、もし私の作品がR18と判断されてしまうと、アンソロジー全体がR18行きになってしまうわけです。Amazonに「R18ではないです」と申請すれば大抵の場合普通のカテゴリーに戻してもらえるのですが、無料キャンペーン等色んなタスクがある中でそういったタイムラグは避けたいという思惑がありました。

そういうわけで、残酷描写・暴力描写はなるべく避けたんですね。

そういう意味でもラノベっぽい要素は助けになりましたし、殺人の報道記事のところもあえて二人目の殺人から書いてあるんです。これは金井エリがシチューにされる描写をしないためでもあり――「こんなオイシイ場面を描写しないで」なんて言われるかもしれませんが、文字数的にもこれを完全に入れると規定の文字数である30,000字を大きく超えてしまう可能性がありました――その映像を読者に想像させる意図もありました。時に描写よりも読者の想像が勝る場合もあるわけです。

そういう流儀で残酷描写を避けながらホラー色を出す演出をしていきました。正直人間をシチューにする過程をガッツリ書いてもR18にはならないと思いますが、Amazonのアダルト基準は（ひょっとしたら本人にさえ）よく分からないところがあるので、念には念を入れた形です。これで子供でも読めるホラーになりました（笑）。

さあ、そんな試行錯誤をもって完成した「ヤンデレ」を含む「春禍秋冬: ~ｋｄｐ名鑑ホラーアンソロジー~」。この機会にぜひ読んでいただければと思います。