「ラプソディ・イン・アムステルダム」書評
- 2015/04/22
- 23:39
このブログでもお馴染みの八幡謙介氏がまた新作をリリースしました。
その名も「ラプソディ・イン・アムステルダム」というもので、私小説的な側面も含んだ(フィクションである事は強調しておきますが)音楽小説ですね。
前作の「アメリカで現地のバンドに入ったらめちゃくちゃすぎてうんざりした件」はご本人の経験がふんだんに盛り込まれたリアルな小説でしたが、今回はよりフィクションの比重が増した分、物語としての色合いが濃くなったと感じました。
この話を一言で言えば、主人公のケンがオランダでジャズバンドで頑張りつつ、色んな女に手を出しては家賃を踏み倒すという話でしょうか。うん、無理矢理一言で表すとちょっと悪意を感じますね(笑)。
氏、曰く「今までの主人公で一番のクズ」というケンですが、私にとっては許容出来るクズでした。ヒモの素質があるというか、明らかにダメな奴なんだけど周りの女性に助けられるタイプですね、彼は。
最後の一言もキレるというよりは笑ってしまいました(笑)。
物語ではケンのジャムセッション活動を中心としたオランダでの暮らしがリアルに描かれています。さすが著者ご本人がアムステルダムに住んでいただけあり、現地の街並みの描写やコーヒーショップのくだり、各地のセッションで描かれるミュージシャン同志のやり取りはかなりリアルで興味深いものでした。
強いて難を言うなら、専門用語で分からないところもちょいちょいあり、「バッキングってなんだっけ」とか「ヴォイシング? 忘れたわ何だっけ?」という事態が発生したため何度か専門用語を調べました。ここはエレナとかフローラあたりを使って、セッション前に「ケンの演奏聴きたい聴きた~い」とかゴネさせ、そこからスムーズに用語解説に入っても良かったかもしれません。
ただ、演奏シーンは用語が分からないにも関わらず、まるで音が聴こえてくるみたいでしたね。なんかわかんないけどスゲエみたいな感じでしょうか? おそらくミュージシャンの読者であれば、チャット・ベイカーあたりのフレーズが脳内で音が鳴り響いているんでしょう(←SUGIZOのラジオ番組で入手した精一杯の知ったかぶりです 笑)。
拙著「鉄姫」では演奏シーンを大々的に再現出来なかったという部分がありましたが、この作品ではショウそのものの表現から逃げていないんですね。それはやっぱりすごいんだと思います。
あと、個人的にすげえ気になるんですが、表紙の女性はフローラさんのイメージなんですかね? なんとなく背の高いスザンヌあたりをイメージしていたのですが。
心底どうでもいいですが、この女性って「鋼の錬金術師」に出てくるトリシャ(エドとアルが生き返らせようとした母親)にスゲエ似てませんか? いや、本当にどうでもいいんですが(笑)。
少なくともKDPでは最高峰のリアリティーを持った音楽小説でしょう。これ、いっそのことシリーズにしてどんどん続けちゃえばいい気もしますが。
ジャズのトピックでバズり、おそらく誰もマネ出来ない躍進の仕方をした氏の力作、ぜひ手に取っていただければと思います。
![]() | ラプソディ・イン・アムステルダム (2015/04/20) 八幡謙介 商品詳細を見る |
その名も「ラプソディ・イン・アムステルダム」というもので、私小説的な側面も含んだ(フィクションである事は強調しておきますが)音楽小説ですね。
前作の「アメリカで現地のバンドに入ったらめちゃくちゃすぎてうんざりした件」はご本人の経験がふんだんに盛り込まれたリアルな小説でしたが、今回はよりフィクションの比重が増した分、物語としての色合いが濃くなったと感じました。
この話を一言で言えば、主人公のケンがオランダでジャズバンドで頑張りつつ、色んな女に手を出しては家賃を踏み倒すという話でしょうか。うん、無理矢理一言で表すとちょっと悪意を感じますね(笑)。
氏、曰く「今までの主人公で一番のクズ」というケンですが、私にとっては許容出来るクズでした。ヒモの素質があるというか、明らかにダメな奴なんだけど周りの女性に助けられるタイプですね、彼は。
最後の一言もキレるというよりは笑ってしまいました(笑)。
物語ではケンのジャムセッション活動を中心としたオランダでの暮らしがリアルに描かれています。さすが著者ご本人がアムステルダムに住んでいただけあり、現地の街並みの描写やコーヒーショップのくだり、各地のセッションで描かれるミュージシャン同志のやり取りはかなりリアルで興味深いものでした。
強いて難を言うなら、専門用語で分からないところもちょいちょいあり、「バッキングってなんだっけ」とか「ヴォイシング? 忘れたわ何だっけ?」という事態が発生したため何度か専門用語を調べました。ここはエレナとかフローラあたりを使って、セッション前に「ケンの演奏聴きたい聴きた~い」とかゴネさせ、そこからスムーズに用語解説に入っても良かったかもしれません。
ただ、演奏シーンは用語が分からないにも関わらず、まるで音が聴こえてくるみたいでしたね。なんかわかんないけどスゲエみたいな感じでしょうか? おそらくミュージシャンの読者であれば、チャット・ベイカーあたりのフレーズが脳内で音が鳴り響いているんでしょう(←SUGIZOのラジオ番組で入手した精一杯の知ったかぶりです 笑)。
拙著「鉄姫」では演奏シーンを大々的に再現出来なかったという部分がありましたが、この作品ではショウそのものの表現から逃げていないんですね。それはやっぱりすごいんだと思います。
あと、個人的にすげえ気になるんですが、表紙の女性はフローラさんのイメージなんですかね? なんとなく背の高いスザンヌあたりをイメージしていたのですが。
心底どうでもいいですが、この女性って「鋼の錬金術師」に出てくるトリシャ(エドとアルが生き返らせようとした母親)にスゲエ似てませんか? いや、本当にどうでもいいんですが(笑)。
少なくともKDPでは最高峰のリアリティーを持った音楽小説でしょう。これ、いっそのことシリーズにしてどんどん続けちゃえばいい気もしますが。
ジャズのトピックでバズり、おそらく誰もマネ出来ない躍進の仕方をした氏の力作、ぜひ手に取っていただければと思います。
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