新作の断片
- 2021/11/06
- 23:55
サブマシンガンを構える。懲りずに発砲した。
相田がシューティングゲームに出てくる気持ち悪いクリーチャーのように地面を転がる。転がる速度といい、動きの気持ち悪さといい、人知を超越している。
二丁拳銃で狙い撃ちする。だが、全裸のレスラーは前方に転がり、あっという間にその距離を詰める。
「しまっ……」
言い切る前に組み付かれる。逆さになる天地。顎を引く。背中に衝撃が走る。スープレックスで投げられたようだった。
全身に広がる痛み。だが、悶えている時間などない。銃を捨て、追撃を逃れるために後ろへと転がった。構える。武器を持っていては相田の動きに追いつけない。殴り合いで殺す事にした。
くノ一らしからぬステップを踏む。格闘技は幼少期から父親から叩き込まれた。芹沢闘虎は道を踏み外しただけで、本来は格闘エリートだった。その技術が錆び付く事は無い。
相田もただならぬものを感じ取ったのか、身を低くして様子を見ている。それを見て、塔子も重心を落とした。重心を高く保つと脚を刈り取られる。レスリングの選手相手にそれは自殺行為だ。
左足を前にして、前の手に当たる左手を上下に揺らし、相手を幻惑する。行くぞ行くぞと見せかけて、攻め込むタイミングを計る。
左を伸ばす。刹那、相田が脚目がけて踏み込んでくる。カウンターのタイミングでテイクダウンを取りにくる。
前脚に組み付こうとした相田の顔面に右膝を叩き込む。カウンター。左ジャブは囮だった。
これ以上無いタイミング。頬骨を直撃した膝は、相田の意識を刈り取った。
すかさずトドメを刺しにいく。
踏み込んで右。鼻に直撃した。ダウン。そのまま馬乗りになり、顔面を破壊しにいく。
小太刀を抜く。気を失いかけた相田の眉間目がけて、その切っ先を振り下ろす。
だが――
小太刀を持った塔子の腕が動かない。
強烈に引っ張られる右腕。いや、腕ではない。小太刀が、強力な磁力で引っ張られている。
小太刀は細い指先をスルリと抜け、回転しながら舞い上がった。
虚空を睨む。カマキリに似たエスパーが空流で嗤っていた。
「バケモノめ」
毒づく。塔子の言葉通り、ミラは正真正銘のバケモノだった。
相田がシューティングゲームに出てくる気持ち悪いクリーチャーのように地面を転がる。転がる速度といい、動きの気持ち悪さといい、人知を超越している。
二丁拳銃で狙い撃ちする。だが、全裸のレスラーは前方に転がり、あっという間にその距離を詰める。
「しまっ……」
言い切る前に組み付かれる。逆さになる天地。顎を引く。背中に衝撃が走る。スープレックスで投げられたようだった。
全身に広がる痛み。だが、悶えている時間などない。銃を捨て、追撃を逃れるために後ろへと転がった。構える。武器を持っていては相田の動きに追いつけない。殴り合いで殺す事にした。
くノ一らしからぬステップを踏む。格闘技は幼少期から父親から叩き込まれた。芹沢闘虎は道を踏み外しただけで、本来は格闘エリートだった。その技術が錆び付く事は無い。
相田もただならぬものを感じ取ったのか、身を低くして様子を見ている。それを見て、塔子も重心を落とした。重心を高く保つと脚を刈り取られる。レスリングの選手相手にそれは自殺行為だ。
左足を前にして、前の手に当たる左手を上下に揺らし、相手を幻惑する。行くぞ行くぞと見せかけて、攻め込むタイミングを計る。
左を伸ばす。刹那、相田が脚目がけて踏み込んでくる。カウンターのタイミングでテイクダウンを取りにくる。
前脚に組み付こうとした相田の顔面に右膝を叩き込む。カウンター。左ジャブは囮だった。
これ以上無いタイミング。頬骨を直撃した膝は、相田の意識を刈り取った。
すかさずトドメを刺しにいく。
踏み込んで右。鼻に直撃した。ダウン。そのまま馬乗りになり、顔面を破壊しにいく。
小太刀を抜く。気を失いかけた相田の眉間目がけて、その切っ先を振り下ろす。
だが――
小太刀を持った塔子の腕が動かない。
強烈に引っ張られる右腕。いや、腕ではない。小太刀が、強力な磁力で引っ張られている。
小太刀は細い指先をスルリと抜け、回転しながら舞い上がった。
虚空を睨む。カマキリに似たエスパーが空流で嗤っていた。
「バケモノめ」
毒づく。塔子の言葉通り、ミラは正真正銘のバケモノだった。
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