出すか出さないか微妙な新作の断片

　世に言うメンヘラみたいになったわたしは、あっという間に精神的なバランスを崩してランク外に落ちていった。

　立場が人を作るって聞いたことがあるけど、立場を失うと自尊心とか希望も失って、ああ、なんかもうぜんぶどうでもいいや、みたいな気分になる。

　気付けば戦力外。

　少し前までは女王扱いされていたわたしは、そのままリストラになった。

　25歳を過ぎたらババアの世界。

　それはわたしが想像している以上に過酷だった。

　わたしはとうに「ババア」の年齢を通りこしていた。

　彼と約束をした、あの日に思いを巡らせる。

　いつまで経っても果たされない約束。

　胸のどうしようもないうずき。

　悲しみ。切なさ。不安。どこに向けたらいいかわからない怒り。

　色んな感情がないまぜになって、わたしはメンヘラをこじらせていた。

　精神科には行かなかったけど、酒に頼りはじめた。

　少しもおいしくない。

　だけど、意識がぼんやりとしてくると、波のように寄せては引く激情や不安を感じずにいられた。このまま何もかもがぼやけて消えてしまえばいい。

　風俗でお金をためこんで孤独に生きるおばさん。

　気付けば行き着いたところはそこだった。

　つい先日までは無垢な処女だったのに。

　どうして？

　どうしてこんな人生を送らないといけないの？