「嘘 Love Lies」書評
- 2021/03/02
- 01:05
久しぶりに書評記事です。
今回読んだのは村上由佳の「嘘 Love Lies」。全然知らない作家でしたが、本屋で「切なすぎて悶え読み!!!」という帯に惹かれて読んでみました。そしたらこれが大当たり。
650ページ超えの長編にも関わらず、まったく長さを感じさせない作品でした。
あらすじは中学生の刀根秀俊、桐原美月、中村陽菜乃、正木亮介が甘酸っぱい青春を繰り広げている中である事件が起こるのですが、それを機に4人の運命が大きく狂い始めます。
その事件で彼らは被害者であり加害者でもあるのですが、20年の時を経てそれは全員が背負う十字架となり、そして新たな火種となっていきます。
罪とは赦されるものなのか?
暴力の連鎖の中で、4人の男女は懊悩し、それぞれの答えを探し求める……。
と、ネタバレ防止で書いたのでかなりざっくりになりましたが、今作は恋愛+ノワールというありそうで無かった組み合わせですね。あとがきが馳星周なのもポイントが高い(笑)。
基本的に全員不幸な登場人物で、引きずっても引きずっても全然擦り減らない十字架を背負って日々を生きています。
ある女はセックスが出来なくなり、ある男は酒に溺れ、ある男が暴力の枷から抜け出せず、ある女は胸に秘めた想いをいつまでも明かせぬまま大好きな人の傍で生きていきます。
読んでいて、しんどい。ですが、ページを捲る手は止まらない。気付けば普通に100ページぐらい読んでいる。そんな作品でした。
本作はいつかに読んだ薬丸岳の「悪党」にも通じるような、人が根源的に抱える罪の意識と贖罪をノワールの世界で扱っている気がします。
誰もがこんな壮絶な人生を歩むわけではない。でも、決して他人事には思えない。そのような磁力というか、人間の持つ普遍性が暴力の連鎖の中で描かれている気がするのです。
あとがきを書いた馳星周と比較すると、本作には希望があるというか、ノワールがノワールのまま終わらないというか、読み終わった後に「自分も頑張ろう」と思える温かさがありますね。馳星周はもうちょっとドライというか、寂しいぐらいのラストに余韻を残す印象があります。
なので救いのない話に見えるかもしれないけど、そこには希望があるし、どんなに絶望的な状況が来ても結局は自分の足で歩いて行くしかないし、案外周りの人も助けてくれる事だってあるし、あなたは自分で思っているよりも他の人から愛されているんだよと、そんな事を言われたような気になりました。
本当に不幸な人ばっかり出てきますけど(笑)、それでも多くの人に読んでもらい、各々の正解に考えを巡らせてほしいと思える作品でした。
今回読んだのは村上由佳の「嘘 Love Lies」。全然知らない作家でしたが、本屋で「切なすぎて悶え読み!!!」という帯に惹かれて読んでみました。そしたらこれが大当たり。
650ページ超えの長編にも関わらず、まったく長さを感じさせない作品でした。
あらすじは中学生の刀根秀俊、桐原美月、中村陽菜乃、正木亮介が甘酸っぱい青春を繰り広げている中である事件が起こるのですが、それを機に4人の運命が大きく狂い始めます。
その事件で彼らは被害者であり加害者でもあるのですが、20年の時を経てそれは全員が背負う十字架となり、そして新たな火種となっていきます。
罪とは赦されるものなのか?
暴力の連鎖の中で、4人の男女は懊悩し、それぞれの答えを探し求める……。
と、ネタバレ防止で書いたのでかなりざっくりになりましたが、今作は恋愛+ノワールというありそうで無かった組み合わせですね。あとがきが馳星周なのもポイントが高い(笑)。
基本的に全員不幸な登場人物で、引きずっても引きずっても全然擦り減らない十字架を背負って日々を生きています。
ある女はセックスが出来なくなり、ある男は酒に溺れ、ある男が暴力の枷から抜け出せず、ある女は胸に秘めた想いをいつまでも明かせぬまま大好きな人の傍で生きていきます。
読んでいて、しんどい。ですが、ページを捲る手は止まらない。気付けば普通に100ページぐらい読んでいる。そんな作品でした。
本作はいつかに読んだ薬丸岳の「悪党」にも通じるような、人が根源的に抱える罪の意識と贖罪をノワールの世界で扱っている気がします。
誰もがこんな壮絶な人生を歩むわけではない。でも、決して他人事には思えない。そのような磁力というか、人間の持つ普遍性が暴力の連鎖の中で描かれている気がするのです。
あとがきを書いた馳星周と比較すると、本作には希望があるというか、ノワールがノワールのまま終わらないというか、読み終わった後に「自分も頑張ろう」と思える温かさがありますね。馳星周はもうちょっとドライというか、寂しいぐらいのラストに余韻を残す印象があります。
なので救いのない話に見えるかもしれないけど、そこには希望があるし、どんなに絶望的な状況が来ても結局は自分の足で歩いて行くしかないし、案外周りの人も助けてくれる事だってあるし、あなたは自分で思っているよりも他の人から愛されているんだよと、そんな事を言われたような気になりました。
本当に不幸な人ばっかり出てきますけど(笑)、それでも多くの人に読んでもらい、各々の正解に考えを巡らせてほしいと思える作品でした。
スポンサーサイト