「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」書評
- 2019/07/11
- 17:00
ずいぶんと久しぶりの書評記事ですね。
今回はAmazonでたまたま見つけた「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」を読了しました。
あまりに面白かったため久しぶりに至高の読書時間を楽しめたという印象でした。
2014年発行らしいので結構な時間が経っていますが。
タイトル通り、この作品はPSPで出ていた「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」の小説化作品なのですが、やはりこのシリーズはただの小説に留まっていないというか、企画者の意図をなぞって書いてみました的な感じがしないのですよね。あわよくば原作を超えてやろうぐらいの意気込みを感じる。
ストーリーはゲームと同じでパスという少女とガルベス教授がスネークのもとに現れて……という流れですが、これ、本当に作品そのものだけでなく、歴史や世界情勢に知悉しているメタルギア狂でないと絶対に書けない作品になっています。
強いて難を言うならラスボスは正規のものだけにして裏ボスはいらなかったんじゃないかとか、裏ボスとのバトル描写がバッサリ切られていた事。あとモチーフになっている曲がカーペンターズではなくジョン・レノンのイマジンになっていた(個人的にイマジンはモチーフとして扱うにはクサすぎるのでカーペンターズぐらいが丁度良かったと思いますが)などの微々たる不満点はあるものの、それがまったく気にならなくなるほど全体としては良く出来た作品でした。
著者の野島一人って絶対に有名な作家の覆面だと思ってるのですがどんな人なんでしょうね。
あとがきにもありましたが、本作と伊藤計劃のガンズ・オブ・パトリオットと合わせたらゲームをやった事の無い人でもメタルギアを共通言語として話せるという事が確信出来る網羅ぶり。そして長いのに冗長さをまったく感じさせず、次が気になるからどんどん読まされてしまう構成が圧倒的でした。まあ、まず新人作家ではないでしょう。
しかし小説は発刊から5年、ゲームは9年前の作品なのですね。
時の流れる早さとともに、つい昨日出たと言われても全く違和感の無い普遍性を持った作品というのは本当にすごいものですね。
野島一人は他の作品も書いているようなのでこれから読むのが楽しみですね。いい読書時間でした。
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