ギルド
- 2018/12/17
- 17:00
先日には小金持ちの家から金品を物色して色々と巻き上げましたが、その金もあっさりと使い果たし、また懲りずに巻き毛のマリアにそっぽを向かれてしまいました。それでも「金が入ったらを抱いてやろう」と思わせるところはやはりプロなのかもしれません。
さて、そんな分析に浸っている場合ではございません。
わたくしの潜伏している宿には、連日たくさんの請求書(主に売春宿)が郵送されてきており、近所では憲兵が、小金持ちを踏み潰されたクリボーみたいなナリにした犯人を嗅ぎまわっていると聞きます。そういった背景もあり、「そろそろずらかるかな」という心境になってきました。
部屋にある金をすべてポケットにしまいこむと、私は宿屋を後にしました。未来を救う勇者様が泊まったのですから、出世払いで許されるでしょう。
久しぶりに働く事にした私は、町外れにあるギルドまでやって来ました。勇者に限らず、戦果を立てて糊口をしのぐ者はここで登録を済ませないといけないようです。ハローワークみたいなシステムなのでしょうか。かったるいですが生きていくには仕方がありません。
相談員らしきゴロツキが受付にいましたので、「週勤四日。即日払いの日給一万カウパーで」と言いましたところ、「そんな仕事あるわけねえだろクソが」と言われましたので、礼儀を知らない下層社員に頭突きをかましましたところ、倒れてそのまま動かなくなりました。
こりゃまた追いかけ回されるのか、と思いましたが、存外に周囲の者は冷静で、わたくしが頭蓋骨を粉砕したオッサンが連れていかれると、入れ替わりで新しいオッサンが私に対応しました。さすがというか、荒くれ者の扱い方には慣れているようです。
このオッサンもかつては勇者候補か何かだったのでしょうか。
やたらと筋肉質な割には左腕のヒジから先がありませんでした。わたくしの歩む道の先に熾烈な闘いが待っていると言われたようで、少しばかり厭な気分になりました。
オッサンが紹介してくれたミッションは城下町近くに住んでいるコウドウ=カイなる凶悪なモンスターを倒すというものでした。
さて、元のわたくしを粉砕したこの身体をもってすれば、そんな城下町付近にいるモンスターなんぞに負けやしないでしょう。と、あっさりと契約書にサインをいたしました。
「ご健闘を」と言うオッサンの顔には、どこか哀れみのような含みがあったようにも感じました。
まあいいです。私は勇者になるべくしてこの世界に呼び出されたのであって、ザコの歩む道からは完全に外れたところにいるのですから。
気をよくした私は、酒を呑みながらコウドウ=カイの待つ住処へと足を向けました。
さて、そんな分析に浸っている場合ではございません。
わたくしの潜伏している宿には、連日たくさんの請求書(主に売春宿)が郵送されてきており、近所では憲兵が、小金持ちを踏み潰されたクリボーみたいなナリにした犯人を嗅ぎまわっていると聞きます。そういった背景もあり、「そろそろずらかるかな」という心境になってきました。
部屋にある金をすべてポケットにしまいこむと、私は宿屋を後にしました。未来を救う勇者様が泊まったのですから、出世払いで許されるでしょう。
久しぶりに働く事にした私は、町外れにあるギルドまでやって来ました。勇者に限らず、戦果を立てて糊口をしのぐ者はここで登録を済ませないといけないようです。ハローワークみたいなシステムなのでしょうか。かったるいですが生きていくには仕方がありません。
相談員らしきゴロツキが受付にいましたので、「週勤四日。即日払いの日給一万カウパーで」と言いましたところ、「そんな仕事あるわけねえだろクソが」と言われましたので、礼儀を知らない下層社員に頭突きをかましましたところ、倒れてそのまま動かなくなりました。
こりゃまた追いかけ回されるのか、と思いましたが、存外に周囲の者は冷静で、わたくしが頭蓋骨を粉砕したオッサンが連れていかれると、入れ替わりで新しいオッサンが私に対応しました。さすがというか、荒くれ者の扱い方には慣れているようです。
このオッサンもかつては勇者候補か何かだったのでしょうか。
やたらと筋肉質な割には左腕のヒジから先がありませんでした。わたくしの歩む道の先に熾烈な闘いが待っていると言われたようで、少しばかり厭な気分になりました。
オッサンが紹介してくれたミッションは城下町近くに住んでいるコウドウ=カイなる凶悪なモンスターを倒すというものでした。
さて、元のわたくしを粉砕したこの身体をもってすれば、そんな城下町付近にいるモンスターなんぞに負けやしないでしょう。と、あっさりと契約書にサインをいたしました。
「ご健闘を」と言うオッサンの顔には、どこか哀れみのような含みがあったようにも感じました。
まあいいです。私は勇者になるべくしてこの世界に呼び出されたのであって、ザコの歩む道からは完全に外れたところにいるのですから。
気をよくした私は、酒を呑みながらコウドウ=カイの待つ住処へと足を向けました。
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