わなびわなび
- 2017/06/25
- 00:54
又吉の「劇場」を読了しました。
たまたま寄った本屋で平積みになっていたので「おっ」という感じで手に取ったのですが、読み始めてみるとやはり面白い。一気読み終わりましたでしたね。
話の内容はぶっちゃけ「火花」と似ているのですが、前作よりも如実に出ていたのは太宰治の影響ですかね。ご本人も太宰好きって言っていたような気がしますが。
芸人として地位を手に入れた人がこういう作品を書くと普通嫌味ったらしくなるのですが、本作では生々しい嫉妬やら自意識の削り合い、わなびの懊悩が生き生きと描かれていましたね。第一作の成功は作者の視点を奪わなかったようです。
読んでいると所々に印象的なポイントがあったので軽く紹介します。
たとえば112ページあたりで圧倒的な才能に出会ってしまった時の無力感なんかはある意味創作全般において言えるあるあるだし、主人公が太宰的にクズっぷりを発揮していると、ヒロインの沙希が「わたしもう27歳になっちゃうんだよ」みたいなセリフを吐くんですが、それを読んだ瞬間、意味も無く虚空に謝ってしまいました。あまり深くはツッコまないで下さい(笑)。
ちょっと話は逸れるのですが、私の次回作は太宰のオマージュである上に沙希という女性が出てくるので盗作疑惑がかかりゃしないかと今から心配しています(笑)。
まあそんな事はどうでもいいとして、前作に比べると筆致に随分と余裕が出てきたなという印象ですかね。特に前半部分では書き慣れた印象を受けました。
前述の通り、素材が変われど根幹的なテーマは「火花」と同じですね。この記事を書くにあたって影響されないように、まだAmazonのレビューは読んでいないのですが、多分「前作と同じ」という書評が沢山あるでしょう。
前々から言っていたように、やはり広義のわなび物が世間は好きなのですかね。現在ほど国民一人一人が自意識をこじらせている時代は無いですよ。ゆえに敗残者の数も半端ないから、そういう作品は共感を集めやすいのでしょうね。
そういう意味では又吉は自分のアイデンティティーに悩んでいる太宰作品の換骨奪胎なのかもしれません。
芥川賞をとったとはいえ、ベテラン作家に比べるとまだ構成やら幅の広さで改善点はあるのだろうと思います。
ですが、ある意味時代が求めているものをダイレクトに提供出来るという圧倒的な強みがありますよね。純作家の人だとプライドが邪魔してなかなかこうはいかない。芸人出身で変な気負いとかプライドが無いから単純に観客が読みたいものを提供出来る部分もあるんじゃないかと思います。
個人的に好きだったのは(ネタバレ防止のために詳しく書かないけど)ラストですかね。
太宰と決定的に違うのは、作中にまだやり直せるんだという余白がある事ですかね。無気力のナルシズムに耽溺する事なく、ただもがいている点では現代人の共感を集め、救いを与えるであろう点は太宰アレルギーの人でもスッと入り込ませる敷居の低さがありますね。
個人的にはどうにもならない人生→無気力→言い訳からのナルシズムみたいな純文学テンプレに食傷気味になっていたので、この新しい流れが良くも悪くも様式美化した純文学というジャンルに風穴を開けてくれたらいいなと思っています。
わなび繋がりで、「名無しの挽歌」を日曜午後5時頃から5日に渡って無料キャンペーンやります。便乗だって? そうですよ。悪いですか?
書いているテーマは同じです。
併せて読みたいみたいな感じで楽しんでいただけたら、ね。
たまたま寄った本屋で平積みになっていたので「おっ」という感じで手に取ったのですが、読み始めてみるとやはり面白い。一気読み終わりましたでしたね。
話の内容はぶっちゃけ「火花」と似ているのですが、前作よりも如実に出ていたのは太宰治の影響ですかね。ご本人も太宰好きって言っていたような気がしますが。
芸人として地位を手に入れた人がこういう作品を書くと普通嫌味ったらしくなるのですが、本作では生々しい嫉妬やら自意識の削り合い、わなびの懊悩が生き生きと描かれていましたね。第一作の成功は作者の視点を奪わなかったようです。
読んでいると所々に印象的なポイントがあったので軽く紹介します。
たとえば112ページあたりで圧倒的な才能に出会ってしまった時の無力感なんかはある意味創作全般において言えるあるあるだし、主人公が太宰的にクズっぷりを発揮していると、ヒロインの沙希が「わたしもう27歳になっちゃうんだよ」みたいなセリフを吐くんですが、それを読んだ瞬間、意味も無く虚空に謝ってしまいました。あまり深くはツッコまないで下さい(笑)。
ちょっと話は逸れるのですが、私の次回作は太宰のオマージュである上に沙希という女性が出てくるので盗作疑惑がかかりゃしないかと今から心配しています(笑)。
まあそんな事はどうでもいいとして、前作に比べると筆致に随分と余裕が出てきたなという印象ですかね。特に前半部分では書き慣れた印象を受けました。
前述の通り、素材が変われど根幹的なテーマは「火花」と同じですね。この記事を書くにあたって影響されないように、まだAmazonのレビューは読んでいないのですが、多分「前作と同じ」という書評が沢山あるでしょう。
前々から言っていたように、やはり広義のわなび物が世間は好きなのですかね。現在ほど国民一人一人が自意識をこじらせている時代は無いですよ。ゆえに敗残者の数も半端ないから、そういう作品は共感を集めやすいのでしょうね。
そういう意味では又吉は自分のアイデンティティーに悩んでいる太宰作品の換骨奪胎なのかもしれません。
芥川賞をとったとはいえ、ベテラン作家に比べるとまだ構成やら幅の広さで改善点はあるのだろうと思います。
ですが、ある意味時代が求めているものをダイレクトに提供出来るという圧倒的な強みがありますよね。純作家の人だとプライドが邪魔してなかなかこうはいかない。芸人出身で変な気負いとかプライドが無いから単純に観客が読みたいものを提供出来る部分もあるんじゃないかと思います。
個人的に好きだったのは(ネタバレ防止のために詳しく書かないけど)ラストですかね。
太宰と決定的に違うのは、作中にまだやり直せるんだという余白がある事ですかね。無気力のナルシズムに耽溺する事なく、ただもがいている点では現代人の共感を集め、救いを与えるであろう点は太宰アレルギーの人でもスッと入り込ませる敷居の低さがありますね。
個人的にはどうにもならない人生→無気力→言い訳からのナルシズムみたいな純文学テンプレに食傷気味になっていたので、この新しい流れが良くも悪くも様式美化した純文学というジャンルに風穴を開けてくれたらいいなと思っています。
わなび繋がりで、「名無しの挽歌」を日曜午後5時頃から5日に渡って無料キャンペーンやります。便乗だって? そうですよ。悪いですか?
書いているテーマは同じです。
併せて読みたいみたいな感じで楽しんでいただけたら、ね。
スポンサーサイト