自己啓発本の書き方

自己啓発本の書き方を語ってみようか。と言ってもえらく簡単だけど。小銭を儲けたい人は参考にしてもらえれば。

また、以下のテクニックを知っていればしょうもない自己啓発本を回避する予備知識にもなり得る。というわけで早速始めていこう。

まずはテーマ選びだ。

まあぶっちゃけて言うが、テーマなんぞなんでもいい。いかにも成功者の香りが漂っていて、まだ誰も扱っていないテーマならセーフだ。なるべく奇抜なやつを選ぶのは言うまでもない。

成功者がでかいサイフを使っているなら成功者はなぜでかいサイフを使うのかっていう本を書けばいいし、女遊びばかりしているなら性交者はなぜ成功者になれるのかとか適当に刺激的なフレーズを付けたらいい。

あとは簡単だ。成功者の要因とテーマの因果関係ををでっち上げろ。

成功者がゾンビなら無尽蔵な体力をプッシュすればいいし、ヤリチンを性交者……もとい、成功者にするならベッドに行くまでのコミュニケーション能力にフォーカスを当てたらいい。こんなの猿でも出来る。

そして例外や当てはまらないケースについては一切触れるな。この本で成功者がゾンビと言ったら成功者は漏れなくゾンビなのだ。

そのようにして自説にとって都合の良いデータばかり集めているとアラ不思議、どこかで見たような自己啓発本になる。

別に読んだ奴が成功しようが失敗しようが知ったこっちゃない。それが自己啓発本という存在性だ。誰もキャバ嬢に千年の恋を求めていないのと一緒だ。買う方だって分かっている。

上級者になると本と全く違う方法で成功を収めて、実例として哀れな被害者を配下に加えるという高度な技を使いこなす。またの名をネズミ講と言う。

さあ、小金が欲しければ今すぐ自己啓発本を書くのだ。わずかな間に時の人となり（通称流れ星）本当にわずかな間だけ虚栄心が満たされて最高だぞ。これは麻薬のようにやめられない。

問題はあらゆる分野で歴史に名を残すレベルにはなれない事だが、まあ死んだ先の事なんか考えるな。

小金稼ぎには小金稼ぎの美学があるのだ。芸術家の猿マネをやって失笑を買うよりよほどマシじゃないか。

要はごく僅かな期間だけ聖書になれる作品を書けばいいのだ。くれぐれも何千年も残るような聖書を書いてはいけない。それは後世で不当に深淵な意味合いを持ちだし、じきに戦争へと繋がる。


追記
こんな状況でも色々な人が応援してくれている。
活動を休止してからややキャラが変わっているけれど、今この瞬間だけ戻しておこう。
ありがとう。あなたの想いはちゃんと届いている。