新作の断片
- 2021/11/22
- 00:00
大二郎の独白 俺は昔、トゥームストーンという愚連隊だかワルの集まりにいた。 地方では有名だったから、もしかしたらお前も知っているかもしれない。トゥームストーンには俺達みたいな社会で拠り所の無い奴らが集まっては悪さをしていた。 極道とまではいかないが、その連結は強固だった。規律はそれなりに厳しいし、それをやぶればそれなりに酷い目にだって遭った。 昔、天竜墓石(てんりゅう とうむ)という男がいた。今の...
新作の断片
- 2021/11/06
- 23:55
サブマシンガンを構える。懲りずに発砲した。 相田がシューティングゲームに出てくる気持ち悪いクリーチャーのように地面を転がる。転がる速度といい、動きの気持ち悪さといい、人知を超越している。 二丁拳銃で狙い撃ちする。だが、全裸のレスラーは前方に転がり、あっという間にその距離を詰める。「しまっ……」 言い切る前に組み付かれる。逆さになる天地。顎を引く。背中に衝撃が走る。スープレックスで投げられたようだっ...
新作の断片
- 2021/10/28
- 00:46
「見つかったら厄介ね」 壁に張り付く塔子。 落とされた照明。経路が見えないせいで、どう進めばいいか分からない。 大二郎から送られた地図情報を見よう。スマホを取り出す。「そこにいるのは誰だ!」 色めき立つ半グレ達。スマホの光で見つかった。うっかりくノ一。やはりスパイ映画のようにはいかない。「こちら塔子。敵に見つかったわ」「お前バカだろう」 棒読み。呆れる大二郎。 構わず上半身に巻きつけたホルスターか...
新作の断片
- 2021/10/06
- 01:17
――大須賀製薬某県工場。 深夜の工場の会議室。大須賀敏郎は秘書と一緒に来季の粉飾決算をいかに行うかを打ち合わせていた。 そのさなか、工場の警報が鳴りはじめた。 オールバックの秘書が端末を操作して状況を読み取る。スマートフォンを取り出し、関係者と軽く会話してから須賀へ報告をはじめる。「ドローンが不審人物を発見しました」 秘書が言うと、葉巻を加えた大須賀敏郎は目を細めた。「どんな奴だ」「JKがノーヘル...
新作の断片
- 2021/10/05
- 00:50
「コードネームは塔子で決まりだな」「なにが」 ニヤニヤ笑いを続ける大二郎。 芹沢は虚空を小太刀で斬りつけていた。見た目がポニーテールの少女に見えるので、ガラの悪いくノ一に見える。「佐藤がそう呼んだんだろう? それならあえてその名を使って報復してやるのも面白いんじゃないかって思ったんでな」「俺は面白くねえよ」 芹沢は顔を顰める。 スポーツブランドのジャージを着てみたが、筋骨隆々の男であった時と比べて...