葉真中顕「ロスト・ケア」書評
- 2023/11/26
- 15:09
葉真中顕の「ロスト・ケア」を読了しました。同氏の著作である「絶叫」でコミカライズ作品まで追うほどの大ハマリをした事もあり、そもそもの期待値がとても高い作品でした。いざ読んでみたらこれがまたとんでもねえ作品というか、読みだしたら止まらなかったですね。本作のあらすじを簡単に紹介します。物語は43人もの人々を殺害した凶悪犯の視点で始まります。日本だと2人も殺せば死刑が求刑されるので、この人数になるとまず死...
牛野小雪「バナナランド」書評
- 2023/11/23
- 14:39
牛野小雪氏の新作であるバナナランドを読了しました。今作は彼の最高傑作候補の一つになるかもしれません。また説明が難しいストーリーなのですが、本作の主人公はユフという名前で、人間工場で働いています。はい、その名の通り人間の製造がなされています。作中では今ぐらいの時代が中世と言われているので、おそらく西暦で言えば4000年ぐらいになるのでしょうか。世界観も価値観も違い、ディストピアなSFっぽい世界観ですね。こ...
染井為人「黒い糸」書評
- 2023/09/02
- 20:57
染井為人の「黒い糸」を読了しました。期待通りの面白さで、やはり一気読みでした。■あらすじあらすじをざっと紹介します。物語の冒頭は主人公の平山亜紀(ひらやま あき)が後輩の土生謙臣(とき けんしん)と顧客を訪問するところから始まります。亜紀は千葉県松戸市の結婚相談所で、婚活アドバイザーの仕事をしているシングルマザーで、夫とは家庭内暴力が原因で別れていました。現在は息子の小太郎と同居して、時々子供と会...
沢木耕太郎「春に散る」書評
- 2023/08/23
- 21:43
今回は沢木耕太郎著「春に散る」を読了しました。本作が映画になるという事で書店に平積みされており、見事TSUTAYAの目論見通り購入いたしました(笑)。ストーリーを簡単に説明します。物語の序盤は広岡仁一という元ボクサーが40年ぶりに日本へと帰って来る話が中心になっています。かつて真拳ジムの四天王と呼ばれたうちの一人である広岡は、海外でビジネスに成功しましたが、心臓に爆弾を持っています。その昔、広岡は日本タイ...
稲垣收「聖パトリックの鎮魂歌」書評
- 2023/08/15
- 20:40
先日の「金網ガール: Cage Girl」に続いて稲垣收著(敬称略)の「聖パトリックの鎮魂歌」を読了しました。一言で感想を言えば、めちゃくちゃ面白かったです。あまりの面白さに2日間であっという間に読了してしまいました。金網ガールもかなりの衝撃でしたが、本作はアクション小説として圧倒的なクオリティでした。物語の冒頭では、本作の主人公である紘一が横須賀のバーで米兵にボコられているところから始まります。米兵は紘一...