ボトルメッセージは誰に向けて流すか
- 2016/04/03
- 23:27
王木亡一朗氏に「読むのがつらいところがある」と言わしめ、根木珠氏に「ガリガリ削られる」とのたまわせた「名無しの挽歌」。あれからさっぱり売れていません(笑)。
なぜなんでしょう? 今回は身内ネタとやらも極力排除していますし、KDPのマーケットを考えたら――つまり、ほとんどの読み手=燻っている作家という意味で――これ以上ないくらいマーケットにマッチして共感を集める作品だと思うのですが、なぜか数字に繋がらない。さすがに個人作家の分母を考えたら作品が行き渡ったなんてことはないと思うのですが。
じゃあちょっと本作に興味が向くようなエピソードを話しますか。
本作の最後には意味ありげな一文があります。その「あなた」が誰なのかを議論する楽しみを奪うような愚行は犯しませんのでご安心を。
何回か書いてきましたが、私が小説を書き出した理由ってちょっと特殊なんですよね。
ちょっと前、有名なAV女優でみひろという人がいました。彼女が出した半自伝・半フィクションの「nude」という小説があるのですが、それの予告編をたまたま映画館で観たのですね。
そうしたらですね、ダイジェストであわやボロ泣きしそうになってしまいまして(笑)、そんな流れで小説を先に読みました。
その時に感じたのが「彼女は私で、私は彼女だ」という心象ですね。別に私はAV女優ではないのですが(笑)、みひろの声無き声が分かりすぎるくらい分かってしまったのです。ちょうど精神的にきていた時期が近かったこともあり、波長が合ってしまったのでしょう。
その時にね、「あっ、別に作家じゃなくても小説を書いていいんだ」とか「実体験を小説に入れ込んでもいいんだ」(←それ以前は小説は全部頭の中で作り上げたフィクションでできているのだと思っていました)という事に気付き、気が付いたら小説を書いていたというわけですね、はい。
だからもしみひろがいなかったら、私は今でも小説なんか書いていなかった可能性があるわけです。
別に作為的なもの無かったのですが、本作にはAV女優も出てくるのですね。それに至る過程については変な誤解を広めないようにかなり気を遣ったのですが、図らずも「名無しの挽歌」は「nude」のアンサーソングになってしまったのかなと思っています。だとしたら我ながら恐ろしい執念だと思いますけど(笑)。
(5年モノぐらいの執念になりますね)
あの作品は本でも読んだし映画でも観ましたが――ちなみにオススメは本の方――どうしても色んな立場からみひろという人間を眺めざるをえないところがありました。たとえば彼女の彼氏はどう思ったんだろうとか、家族やら友人はどう接するのが正解なのだろうとか、まさに大人の道徳ですよ。答えを出すのがすげえ難しい。そしてきっと正解は無い。
怒られるのを覚悟で書きますが、世間的にはAV女優ってあんまり褒められた職業じゃないというか、いまだに根強い差別はあるのだと思います。正直ね。
ただ、私としては「いや、でも彼女はいろんな想いがあってその道を選択したのだから、彼女の決断は尊重するべきじゃないか」とか「でも、みひろが俺の彼女だったらそんな綺麗事を言っていられるだろうか?」とか不要な自問自答をしては、また傷を深めていくわけです。何言ってるのかよく分かりませんね、ハイ。
それでね、そういう気持ちを皆さんにも味わってもらおうと(笑)。
そういうわけで、本作が読み手の魂がガリガリ削られる作品になるのは必然だったのです。
作中の主人公はいわゆるボトルメッセージを流すのですが、作者である私もまた色んな人にボトルメッセージを流しているわけです。なかなか面白いでしょう。
そんなわけで、色んな含みのある「名無しの挽歌」、ぜひとも読んで下さいね。
あ、あと最後にちょっとだけ告知。
個人的に大ファンである個人作家さん二人が新作を出しましたので、リンクを貼っておきます。
名前買いしても全然損はしませんよ。
こちらも要チェックです。
追伸
あの作品に込めたボトルメッセージが本当にみひろ本人に届いたらちょっと笑います。
なぜなんでしょう? 今回は身内ネタとやらも極力排除していますし、KDPのマーケットを考えたら――つまり、ほとんどの読み手=燻っている作家という意味で――これ以上ないくらいマーケットにマッチして共感を集める作品だと思うのですが、なぜか数字に繋がらない。さすがに個人作家の分母を考えたら作品が行き渡ったなんてことはないと思うのですが。
じゃあちょっと本作に興味が向くようなエピソードを話しますか。
本作の最後には意味ありげな一文があります。その「あなた」が誰なのかを議論する楽しみを奪うような愚行は犯しませんのでご安心を。
何回か書いてきましたが、私が小説を書き出した理由ってちょっと特殊なんですよね。
ちょっと前、有名なAV女優でみひろという人がいました。彼女が出した半自伝・半フィクションの「nude」という小説があるのですが、それの予告編をたまたま映画館で観たのですね。
そうしたらですね、ダイジェストであわやボロ泣きしそうになってしまいまして(笑)、そんな流れで小説を先に読みました。
その時に感じたのが「彼女は私で、私は彼女だ」という心象ですね。別に私はAV女優ではないのですが(笑)、みひろの声無き声が分かりすぎるくらい分かってしまったのです。ちょうど精神的にきていた時期が近かったこともあり、波長が合ってしまったのでしょう。
その時にね、「あっ、別に作家じゃなくても小説を書いていいんだ」とか「実体験を小説に入れ込んでもいいんだ」(←それ以前は小説は全部頭の中で作り上げたフィクションでできているのだと思っていました)という事に気付き、気が付いたら小説を書いていたというわけですね、はい。
だからもしみひろがいなかったら、私は今でも小説なんか書いていなかった可能性があるわけです。
別に作為的なもの無かったのですが、本作にはAV女優も出てくるのですね。それに至る過程については変な誤解を広めないようにかなり気を遣ったのですが、図らずも「名無しの挽歌」は「nude」のアンサーソングになってしまったのかなと思っています。だとしたら我ながら恐ろしい執念だと思いますけど(笑)。
(5年モノぐらいの執念になりますね)
あの作品は本でも読んだし映画でも観ましたが――ちなみにオススメは本の方――どうしても色んな立場からみひろという人間を眺めざるをえないところがありました。たとえば彼女の彼氏はどう思ったんだろうとか、家族やら友人はどう接するのが正解なのだろうとか、まさに大人の道徳ですよ。答えを出すのがすげえ難しい。そしてきっと正解は無い。
怒られるのを覚悟で書きますが、世間的にはAV女優ってあんまり褒められた職業じゃないというか、いまだに根強い差別はあるのだと思います。正直ね。
ただ、私としては「いや、でも彼女はいろんな想いがあってその道を選択したのだから、彼女の決断は尊重するべきじゃないか」とか「でも、みひろが俺の彼女だったらそんな綺麗事を言っていられるだろうか?」とか不要な自問自答をしては、また傷を深めていくわけです。何言ってるのかよく分かりませんね、ハイ。
それでね、そういう気持ちを皆さんにも味わってもらおうと(笑)。
そういうわけで、本作が読み手の魂がガリガリ削られる作品になるのは必然だったのです。
作中の主人公はいわゆるボトルメッセージを流すのですが、作者である私もまた色んな人にボトルメッセージを流しているわけです。なかなか面白いでしょう。
そんなわけで、色んな含みのある「名無しの挽歌」、ぜひとも読んで下さいね。
あ、あと最後にちょっとだけ告知。
個人的に大ファンである個人作家さん二人が新作を出しましたので、リンクを貼っておきます。
名前買いしても全然損はしませんよ。
こちらも要チェックです。
追伸
あの作品に込めたボトルメッセージが本当にみひろ本人に届いたらちょっと笑います。
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