分かる人にしか分からないエロス
- 2016/03/12
- 23:43
今日は先輩達の卒業式だ。正直、だるい。みんな似たようなことを思っているのだろう。
僕には憧れの先輩なんていないし、別れを惜しむような兄貴分もいない。そうなると遠い親戚の結婚式に出席しないといけなくなったようで、妙なめんどくささがある。
それでも送る言葉とかを間違えると怒られるんだろうなーなんて思うと憂鬱だ。損しかしていないだろ、僕ら。
することもないし、時間まで机に突っ伏して寝てようかと思っていると、高瀬愛理(たかせ あいり)さんが教室に入る。県内屈指の美少女で、千年に一人のアイドルにぶつけようと芸能界の人がスカウトに来た(高瀬さんの母親談)ほど卓抜した容姿を持つ。
さすがに千年云々は誇大広告なんじゃねえのとは思いつつも、大きくて澄んだ瞳と清流のような黒髪、桜のような色合いを帯びた小さな唇で織り成す笑顔は男子を一撃で夢中にさせてしまう。
だが、彼女にも弱点はあった。
高瀬さんは花粉に弱かった。だから、今日は綺麗な顔がマスクで隠されている。見方によれば変装になっていいんじゃないかと言われそうだけど。
「くちゅん!」
こらえようとしてもくしゃみが止まらなかったのか、天使は花粉症になっても天使だった。
「くちゅん、くちゅん!」
花粉がツボに入ってしまったのか、さらに二連発。いいぞ、もっとやれ。
たまらずマスクの下からティッシュを差し入れる。マスクの隙間から、彼女の鼻水が伸びているのが見えた。小さい隙間だから、真横にいる僕にしかそれは見えない。耳は真っ赤だった。
女子の一人が高瀬さんを気遣う。
「大丈夫?」
「ふらい(つらい)」
耳だけを赤くしたまま、彼女は僕をチラリと見た。
僕だけがその意味を知っている。
愛理ちゃんの鼻水が伸びた、伸びた、僕だけがそれを見れた。
今年はいい年だった。
僕には憧れの先輩なんていないし、別れを惜しむような兄貴分もいない。そうなると遠い親戚の結婚式に出席しないといけなくなったようで、妙なめんどくささがある。
それでも送る言葉とかを間違えると怒られるんだろうなーなんて思うと憂鬱だ。損しかしていないだろ、僕ら。
することもないし、時間まで机に突っ伏して寝てようかと思っていると、高瀬愛理(たかせ あいり)さんが教室に入る。県内屈指の美少女で、千年に一人のアイドルにぶつけようと芸能界の人がスカウトに来た(高瀬さんの母親談)ほど卓抜した容姿を持つ。
さすがに千年云々は誇大広告なんじゃねえのとは思いつつも、大きくて澄んだ瞳と清流のような黒髪、桜のような色合いを帯びた小さな唇で織り成す笑顔は男子を一撃で夢中にさせてしまう。
だが、彼女にも弱点はあった。
高瀬さんは花粉に弱かった。だから、今日は綺麗な顔がマスクで隠されている。見方によれば変装になっていいんじゃないかと言われそうだけど。
「くちゅん!」
こらえようとしてもくしゃみが止まらなかったのか、天使は花粉症になっても天使だった。
「くちゅん、くちゅん!」
花粉がツボに入ってしまったのか、さらに二連発。いいぞ、もっとやれ。
たまらずマスクの下からティッシュを差し入れる。マスクの隙間から、彼女の鼻水が伸びているのが見えた。小さい隙間だから、真横にいる僕にしかそれは見えない。耳は真っ赤だった。
女子の一人が高瀬さんを気遣う。
「大丈夫?」
「ふらい(つらい)」
耳だけを赤くしたまま、彼女は僕をチラリと見た。
僕だけがその意味を知っている。
愛理ちゃんの鼻水が伸びた、伸びた、僕だけがそれを見れた。
今年はいい年だった。
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