如月恭介氏「ミッドナイト・ブルー」書評
- 2016/02/12
- 23:49
先日に紹介しました、如月恭介氏の新作「ミッドナイト・ブルー」を読了しました。
ストーリーをざっくり説明すると、この小説では二つの世界が同時並行(?)していきます。
一つは修一というサラリーマンが生きる世界で、こちらは現代の日本といったところでしょうか。修一はダメなサラリーマンとして退屈な日常を送っています。そんな中、彼は最近不思議な夢を見るようになったのです。
その夢の世界こそが表紙でも表現されている世界で、2050年のサーキット・タウンと呼ばれる舞台で、ブルーという名のサングラスをしたイケメン(予想)が暴れまわっています。
サーキット・タウンではサイコ・コネクトという装置が人間に実装されており、それは洗脳の道具でした。例えば、政府が支配的な方針を取ったとしても、サイコ・コネクトが快感物質を出して多幸感を演出し、日常生活に疑問を持たせないという恐るべき管理社会です。
(「ナノマシン反対!」で似たような世界を書きましたが、案外同じような懸念を持っている人は多いのかも……)
ファントム号なる空飛ぶバイク(?)を乗りこなすブルーは、奸計をめぐらせる悪どい政府に喧嘩を売ります。
ブルーの運命やいかに。そして、平行する世界にいる修一の秘密とは?
と、そんなお話です。
ここからは感想ですね。
この作品を読んでいて真っ先に思い浮かべたのはMATRIXでしょうか。サイコ・コネクトが脊髄に付属するガジェットという事と、主人公のブルーがサングラスをしているところからそんなイメージが浮かんだのかもしれません。
如月氏はSFというジャンルを得意としていますが、今作はいつにも増して様々なガジェットがドラえもん並みに出てくるので、SFのガジェットにワクワクするタイプの読者にとっては垂涎ものの作品でしょう。
また、冒頭で紹介した二つの世界が平行していく書き方は氏の作品では初めてではないですかね? どこかの誰かさんみたいに「ペ、ペ、ペ、リ」とか小賢しい細工は使っていません(笑)。
また、ストーリー上のネタバレを防ぐためにあらすじでは書きませんでしたが、ファントム号と空中を浮遊する母艦やら戦闘機とのバトルがあります。こちらも読み応えアリです。
ちょっとだけ難点を言うなら母艦が登場したり墜落する時の描写をもっと(くどいぐらい)してほしかったというところですかね。石油タンカーみたいにでっかい乗り物が近付いて来る時の迫力ってすごいじゃないですか。
(イメージ)
こういうズゴゴゴ感を描写で出せたらさらに迫力があったかな、と。他にも色んな母艦がブルー一味に沈められるのですが、煙を噴き出してからゆっくり地面へと落っこちて、時間差でドーンみたいな描写があっても良かったと思います。ここの描写がアッサリしてしまったのがちと勿体無い。
あとはブルーをハイスペックにしすぎたか。敵を効率良く倒す様はプロゲーマー(メタルギアのTAS動画みたいな)の動画を観ているように感じた部分があるので、もう少し敵の強さを星二つぐらい増やした方がスリリングになったかと思います。あくまで私見ですけどね。でも、全体的には期待通り楽しめました。個人的にアサンジは大嫌いなんですけど(笑)。
今回もある意味氏の普遍的テーマというか、自由を得るための闘いですよね。如月氏の作品では神と闘う作品が多い気もしますが。
しかし、毎回長編をこのクオリティで仕上げてくるというのはすごいですね。私も一年通して一ヶ月連続リリースをしましたが、彼ほどにごまかしなく全力の作品をぶつけるというのは色んな障壁もありちょっとマネ出来ませんね。如月氏は記録を繋ぐためにしょうもないエッセイなんか書いてませんし(笑)。
とにかく、名前だけで買っても損をしない作家さんです。
前編は無料になっているので、この機会にぜひ読んでみて下さい。
ストーリーをざっくり説明すると、この小説では二つの世界が同時並行(?)していきます。
一つは修一というサラリーマンが生きる世界で、こちらは現代の日本といったところでしょうか。修一はダメなサラリーマンとして退屈な日常を送っています。そんな中、彼は最近不思議な夢を見るようになったのです。
その夢の世界こそが表紙でも表現されている世界で、2050年のサーキット・タウンと呼ばれる舞台で、ブルーという名のサングラスをしたイケメン(予想)が暴れまわっています。
サーキット・タウンではサイコ・コネクトという装置が人間に実装されており、それは洗脳の道具でした。例えば、政府が支配的な方針を取ったとしても、サイコ・コネクトが快感物質を出して多幸感を演出し、日常生活に疑問を持たせないという恐るべき管理社会です。
(「ナノマシン反対!」で似たような世界を書きましたが、案外同じような懸念を持っている人は多いのかも……)
ファントム号なる空飛ぶバイク(?)を乗りこなすブルーは、奸計をめぐらせる悪どい政府に喧嘩を売ります。
ブルーの運命やいかに。そして、平行する世界にいる修一の秘密とは?
と、そんなお話です。
ここからは感想ですね。
この作品を読んでいて真っ先に思い浮かべたのはMATRIXでしょうか。サイコ・コネクトが脊髄に付属するガジェットという事と、主人公のブルーがサングラスをしているところからそんなイメージが浮かんだのかもしれません。
如月氏はSFというジャンルを得意としていますが、今作はいつにも増して様々なガジェットがドラえもん並みに出てくるので、SFのガジェットにワクワクするタイプの読者にとっては垂涎ものの作品でしょう。
また、冒頭で紹介した二つの世界が平行していく書き方は氏の作品では初めてではないですかね? どこかの誰かさんみたいに「ペ、ペ、ペ、リ」とか小賢しい細工は使っていません(笑)。
また、ストーリー上のネタバレを防ぐためにあらすじでは書きませんでしたが、ファントム号と空中を浮遊する母艦やら戦闘機とのバトルがあります。こちらも読み応えアリです。
ちょっとだけ難点を言うなら母艦が登場したり墜落する時の描写をもっと(くどいぐらい)してほしかったというところですかね。石油タンカーみたいにでっかい乗り物が近付いて来る時の迫力ってすごいじゃないですか。
(イメージ)
こういうズゴゴゴ感を描写で出せたらさらに迫力があったかな、と。他にも色んな母艦がブルー一味に沈められるのですが、煙を噴き出してからゆっくり地面へと落っこちて、時間差でドーンみたいな描写があっても良かったと思います。ここの描写がアッサリしてしまったのがちと勿体無い。
あとはブルーをハイスペックにしすぎたか。敵を効率良く倒す様はプロゲーマー(メタルギアのTAS動画みたいな)の動画を観ているように感じた部分があるので、もう少し敵の強さを星二つぐらい増やした方がスリリングになったかと思います。あくまで私見ですけどね。でも、全体的には期待通り楽しめました。個人的にアサンジは大嫌いなんですけど(笑)。
今回もある意味氏の普遍的テーマというか、自由を得るための闘いですよね。如月氏の作品では神と闘う作品が多い気もしますが。
しかし、毎回長編をこのクオリティで仕上げてくるというのはすごいですね。私も一年通して一ヶ月連続リリースをしましたが、彼ほどにごまかしなく全力の作品をぶつけるというのは色んな障壁もありちょっとマネ出来ませんね。如月氏は記録を繋ぐためにしょうもないエッセイなんか書いてませんし(笑)。
とにかく、名前だけで買っても損をしない作家さんです。
前編は無料になっているので、この機会にぜひ読んでみて下さい。
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