DIR EN GREY 2016.2.5@日本武道館ライブレポート
- 2016/02/06
- 00:51
「ARCHE」と最新アルバムの名を銘打たれたDIR EN GREYの公演に行って来た。
武道館のファサードを通り過ぎると、小さな小屋に首無しのオブジェがあった。無理くり名付けるなら首無しタコ女というところだろうか。


クロークにコートを預け、バンドTシャツで凍える気合の入ったファンと開演を待つ。
武道館内部はエリア別に小さく仕切られており、そのお陰かダイブやモッシュは起きなかった。ただ、観客の熱度は高い。
舞台が暗転、武道館は興奮した観客の熱気に包まれる。大型スクリーンには外で見た首無しタコ女が。その後は中世の絵画風の絵とともに、哀しくもエモーショルな旋律がピアノで奏でられる。
メンバーが登場すると、詰め掛けた観客から怒号のような歓声が上がった。黒いローブにその身を包んだ京(Vo)はこの日も殺気に満ちていた。
さすが「ARCHE」と銘打った公演だけあり、最初に演奏されたのはUn deux。京はコンディションにややムラのあるヴォーカリストであると認識していたが、この日の彼は絶好調。グロウルにもクリーンにもキレがあった。
ドラムの音にフェチズムを感じる私は、ドラムのShinyaが刻むリズムに耳を傾ける。海外でも変態的と評される変則ドラミングは年々力強さも増している気がする。
二曲目は咀嚼。このままアルバムを完全再現するのかとも思ったが、途中で曲順が変わっていたので、明日も微妙にセットリストに変化があるはずだ。
エクスタシーレコード系のバンドでは常に言える事かもしれないが、ファンの一人一人が本当によく音を聴き取ろうとしているのが分かる。読書で言えば純文学のコアな読者層に通じるものがあるというか、自分なりの感性で作品の本質を掴みとろうとしているのが第三者的に分かるのだ。こういうリスナーを持てるDIR EN GREYは幸せなバンドと言っていいだろう。
曲順は違えど、基本的には「ARCHE」収録の曲が多く演奏されていた。ネットでセットリストを見つけたので抜粋させていただく。抜粋元はこちら。
1.Un deux
2.咀嚼
3.鱗
4.Phenomenon
5.Cause of fickleness
6.濤
7.輪郭
8.Chain repulsion
9.Midwife
10.禍夜想
11.and Zero
12.てふてふ
13.懐春
14.Behind a vacant image
15.SUSTAIN THE UNTRUTH
16.空谷の跫音
ENCORE
17.The inferno
18.Revelation of mankind
19.THE FINAL
20.朔-saku-
21.【KR】cube
22.CHILD PREY
「ARCHE」収録曲ではSUSTAIN THE UNTRUTHが個人的ベストだった。曲自体が放つ音圧、京のヴォーカルがマッチした最高の曲だったと思う。
アンコールのTHE FINALでは恒例のシンガロング。大画面に歌詞まで映っているのだから、これで歌わない人間はよっぽど奥ゆかしいか喉を痛めていたか空気が読めないかのどれかだろう。武道館が気持ちよさそうに歌っていた。
その後は朔-saku-が続き、曲目的にはこれでシメかと思ったが、【KR】cubeがプレイされる。周囲の観客が予想以上に興奮していたが、正直なんでこの曲でそんなにテンションが上がっていたのか私には分からなかった。アルバム収録曲ではなかったと思うので、カバーか何かだったのだろうか?
ラストを飾ったのは個人的には意外な曲だった。CHILD PREY――PVは観た事があったが、生で聴いたのは初めてな気がする。こちらもウォーウォーとサッカーの国際試合を思わせるシンガロングが発生。大興奮のまま一日目の公演は終わった。
DIR EN GREYの公演も何度も観ているが、彼らはキャリアを進めれば進めるほど多彩さを増しているように思えるし、ライブで放つ迫力にはますます魅力がかかっている。
最近ではキャッチーさと前衛さを巧く混ぜ込んだ新境地を開拓しているし、浅く聴いても深く聴いても楽しめるバンドになっていると言えるだろう。
あくまで私の所感だが、DIR EN GREYはネットでバンドわなびから「下手クソ」とバカにされている気がする。だが、現場で彼らほど(というか京ほど)の殺気を放つアーティストを私は知らない。後から映像で観ると、思いのほか音が薄っぺらくなっているように感じた事はファンの私ですらある。だが、「現場で聴いたらこんなもんじゃねえぞ」というのは言っておきたい。
彼らは現場で声を届かせるアーティストなのだ。スタジオの音が綺麗なバンドはたくさんいれど、ライブで観客の琴線に触れる事が出来るかどうかは音楽関係に限らず表現者の人間は見習わねばなるまい。そして、彼らを下手クソ呼ばわりした奴らのパフォーマンスが実地でいかほどのグルーヴを生み出すのか直接この目で確認したいところである(笑)。
人の心に届ける事、人に感動を与える事というのは、アーティストにとって一番大事な要素である。彼らが放つ殺気の中から、表現者として揺るがぬ矜持を感じた。
今日もいい夢が見れそうである。


ついでに宣伝。
筆者は「鉄姫」というバンド小説を出している。DIRファンでは割と有名なヴァッケンオープンエアーの悲劇を元にした話や、その他エクスタシーレコード系のファンなら垂涎のネタ(一応そういう評価があったので自称ではない)が多数含まれている。
興味のある方はスマホやKindleで読めるのでどうぞ。
武道館のファサードを通り過ぎると、小さな小屋に首無しのオブジェがあった。無理くり名付けるなら首無しタコ女というところだろうか。


クロークにコートを預け、バンドTシャツで凍える気合の入ったファンと開演を待つ。
武道館内部はエリア別に小さく仕切られており、そのお陰かダイブやモッシュは起きなかった。ただ、観客の熱度は高い。
舞台が暗転、武道館は興奮した観客の熱気に包まれる。大型スクリーンには外で見た首無しタコ女が。その後は中世の絵画風の絵とともに、哀しくもエモーショルな旋律がピアノで奏でられる。
メンバーが登場すると、詰め掛けた観客から怒号のような歓声が上がった。黒いローブにその身を包んだ京(Vo)はこの日も殺気に満ちていた。
さすが「ARCHE」と銘打った公演だけあり、最初に演奏されたのはUn deux。京はコンディションにややムラのあるヴォーカリストであると認識していたが、この日の彼は絶好調。グロウルにもクリーンにもキレがあった。
ドラムの音にフェチズムを感じる私は、ドラムのShinyaが刻むリズムに耳を傾ける。海外でも変態的と評される変則ドラミングは年々力強さも増している気がする。
二曲目は咀嚼。このままアルバムを完全再現するのかとも思ったが、途中で曲順が変わっていたので、明日も微妙にセットリストに変化があるはずだ。
エクスタシーレコード系のバンドでは常に言える事かもしれないが、ファンの一人一人が本当によく音を聴き取ろうとしているのが分かる。読書で言えば純文学のコアな読者層に通じるものがあるというか、自分なりの感性で作品の本質を掴みとろうとしているのが第三者的に分かるのだ。こういうリスナーを持てるDIR EN GREYは幸せなバンドと言っていいだろう。
曲順は違えど、基本的には「ARCHE」収録の曲が多く演奏されていた。ネットでセットリストを見つけたので抜粋させていただく。抜粋元はこちら。
1.Un deux
2.咀嚼
3.鱗
4.Phenomenon
5.Cause of fickleness
6.濤
7.輪郭
8.Chain repulsion
9.Midwife
10.禍夜想
11.and Zero
12.てふてふ
13.懐春
14.Behind a vacant image
15.SUSTAIN THE UNTRUTH
16.空谷の跫音
ENCORE
17.The inferno
18.Revelation of mankind
19.THE FINAL
20.朔-saku-
21.【KR】cube
22.CHILD PREY
「ARCHE」収録曲ではSUSTAIN THE UNTRUTHが個人的ベストだった。曲自体が放つ音圧、京のヴォーカルがマッチした最高の曲だったと思う。
アンコールのTHE FINALでは恒例のシンガロング。大画面に歌詞まで映っているのだから、これで歌わない人間はよっぽど奥ゆかしいか喉を痛めていたか空気が読めないかのどれかだろう。武道館が気持ちよさそうに歌っていた。
その後は朔-saku-が続き、曲目的にはこれでシメかと思ったが、【KR】cubeがプレイされる。周囲の観客が予想以上に興奮していたが、正直なんでこの曲でそんなにテンションが上がっていたのか私には分からなかった。アルバム収録曲ではなかったと思うので、カバーか何かだったのだろうか?
ラストを飾ったのは個人的には意外な曲だった。CHILD PREY――PVは観た事があったが、生で聴いたのは初めてな気がする。こちらもウォーウォーとサッカーの国際試合を思わせるシンガロングが発生。大興奮のまま一日目の公演は終わった。
DIR EN GREYの公演も何度も観ているが、彼らはキャリアを進めれば進めるほど多彩さを増しているように思えるし、ライブで放つ迫力にはますます魅力がかかっている。
最近ではキャッチーさと前衛さを巧く混ぜ込んだ新境地を開拓しているし、浅く聴いても深く聴いても楽しめるバンドになっていると言えるだろう。
あくまで私の所感だが、DIR EN GREYはネットでバンドわなびから「下手クソ」とバカにされている気がする。だが、現場で彼らほど(というか京ほど)の殺気を放つアーティストを私は知らない。後から映像で観ると、思いのほか音が薄っぺらくなっているように感じた事はファンの私ですらある。だが、「現場で聴いたらこんなもんじゃねえぞ」というのは言っておきたい。
彼らは現場で声を届かせるアーティストなのだ。スタジオの音が綺麗なバンドはたくさんいれど、ライブで観客の琴線に触れる事が出来るかどうかは音楽関係に限らず表現者の人間は見習わねばなるまい。そして、彼らを下手クソ呼ばわりした奴らのパフォーマンスが実地でいかほどのグルーヴを生み出すのか直接この目で確認したいところである(笑)。
人の心に届ける事、人に感動を与える事というのは、アーティストにとって一番大事な要素である。彼らが放つ殺気の中から、表現者として揺るがぬ矜持を感じた。
今日もいい夢が見れそうである。


ついでに宣伝。
筆者は「鉄姫」というバンド小説を出している。DIRファンでは割と有名なヴァッケンオープンエアーの悲劇を元にした話や、その他エクスタシーレコード系のファンなら垂涎のネタ(一応そういう評価があったので自称ではない)が多数含まれている。
興味のある方はスマホやKindleで読めるのでどうぞ。
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