新作の断片
- 2022/12/11
- 00:02
「なんすか」
棒読みの塩対応。スキンヘッドが「これを」と言って小幡にグローブを手渡した。
「は?」
固まる小幡。舞が「何これ?」と小首を傾げている。
小幡が固まったのも無理は無い。
手渡されたのは、総合格闘技用のオープンフィンガーグローブだったからだ。
ボクシング用のグローブは当然指を開けないようになっており、唯一分離している親指の部分ですら、ナックルの部分と結び付けられて固定されている。
だが、オープンフィンガーグローブは違う。指先は素手になっており、ナックルの部分もボクシング用のグローブに比べて薄く、
非常に硬い。誰でもこれで殴られればタダでは済まない事ぐらい理解出来る。
「どういう事?」
「と、言いますのは?」
小幡の質問に、質問で返すスキンヘッド。
「いや、だからさ」
「ええ」
「ボクシングで、こんなグローブで試合している選手を見た事あるの? って話」
「はあ……」
そんな事を私に言われましてもねえ、という無責任な態度で頭を掻くスキンヘッド。小幡はすぐに「ダメだこいつ」と心中で落胆
する。
――ハメられた。
五條挑戦権トーナメントの決勝は、オープンフィンガーグローブのボクシングマッチらしい。さすがネット格闘技。選手の安全を
微塵も考えておらず、感動で涙が出そうになる。
棒読みの塩対応。スキンヘッドが「これを」と言って小幡にグローブを手渡した。
「は?」
固まる小幡。舞が「何これ?」と小首を傾げている。
小幡が固まったのも無理は無い。
手渡されたのは、総合格闘技用のオープンフィンガーグローブだったからだ。
ボクシング用のグローブは当然指を開けないようになっており、唯一分離している親指の部分ですら、ナックルの部分と結び付けられて固定されている。
だが、オープンフィンガーグローブは違う。指先は素手になっており、ナックルの部分もボクシング用のグローブに比べて薄く、
非常に硬い。誰でもこれで殴られればタダでは済まない事ぐらい理解出来る。
「どういう事?」
「と、言いますのは?」
小幡の質問に、質問で返すスキンヘッド。
「いや、だからさ」
「ええ」
「ボクシングで、こんなグローブで試合している選手を見た事あるの? って話」
「はあ……」
そんな事を私に言われましてもねえ、という無責任な態度で頭を掻くスキンヘッド。小幡はすぐに「ダメだこいつ」と心中で落胆
する。
――ハメられた。
五條挑戦権トーナメントの決勝は、オープンフィンガーグローブのボクシングマッチらしい。さすがネット格闘技。選手の安全を
微塵も考えておらず、感動で涙が出そうになる。
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