ザワつく感じ

かの銃撃事件ですっかり掻き消されていますけど、少し前に山手線を止めた男の動画が話題になりました。

しばらくぶりに動画をもう一回見てみたのですが、当時私達はなんであの動画にあそこまで嫌な思いをしたのだろうと自分なりに分析をしてみました。

ことの発端は4万円の入った財布を線路に落とし、駅員に頼んでも拾ってくれないので緊急停止ボタンを押したという話でしたが、男は激高して詰め寄る駅員の首から下を動画で撮ってネットに流しました。

今では大元のアカウントは消えているそうですが、何度見ても男の身勝手な思考ばかりが目立ちます。自分の4万円を守るために他の人がどれだけ損害を被ろうが想像もしない、というかそもそも思いつかない。ここに彼のヤバさがあります。

おそらく周囲に気遣いをする機会を経ずに大人になってしまった方だと思うのですが、私達がザワついているのはこの男のヤバさだけではないような気がするのです。

だって、正直、大小あれどこういう思考パターンの人って増えていませんか？

もしかしたら私自身もそうなっているかも、なんて思ったりもするのですが、最近は若かろうが年食ってようが自分の権利を守るために周囲の人がどれだけ傷付くのかを考えられない人がものすごく増えている気がするのです。

おそらく過剰に尊重された個人の自由がその轡を失い、暴走した形で生まれた時代の歪みのようなものかとも思うのですが、私達はこういった人達が案外近くにいるし下手をすると自分もそっち側の人間になっている可能性がある事を知らず知らず知覚しているのではないか。そんな気がするのです。

まあ、この件の人は極端な例なんでしょうよ。

それにしても、あれだけの迷惑を周囲にかけておいて、自分が悪いとはおそらく1ミリも思っていないであろうモンスター達は、ある意味無敵の人よりも社会にとって脅威になるのかもしれません。

ネットで言う無敵の人を私は勝手にばくだん岩と呼んでますが（メガンテを使うので）、いきりたって仲間に襲いかかる彼らはエミリー（エリミネーター）と呼ばれつつ、その数を増やしていくような気がするのです。

これから身勝手な奴らが様々な事件を起こしては無辜の人に斬りかかるんだろうな。

山手線の事件で言いようのない嫌な感じを得た人達は、このような思いを大なり小なり感じたのではないでしょうか。

この社会はもしかしたら終わりに近付いているのかもしれませんね。いや、大げさか……。

大げさであってほしい。