深町秋生「ブラッディ・ファミリー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―」書評
- 2022/04/30
- 23:41
深町秋生の新刊「ブラッディ・ファミリー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―」を読了しました。いやあ、期待を超える面白さでした。本当にあっという間でした。
ストーリーをざっくり説明すると、ドッグ・メーカーの異名を持つ観察の警部補、黒滝誠治が自殺した女性刑事である波木愛純の足跡をたどりつつ、彼女を死に追いやった伊豆倉陽一という不良警官を追うところから始まります。
様々な警察官の弱みを握っては自らのエス(情報提供者)へと仕立てていく黒滝。どれだけ屈強な人間でも彼にかかれば一匹の犬にされてしまう。そこから黒滝はドッグ・メーカーと呼ばれるようになりました。
警察内部の犯罪を取り締まる部署なのに、法令順守の欠片もない容赦なき追い込みをかける黒滝。
ですが、今回のターゲットである伊豆倉陽一はただの悪徳警官ではありません。
伊豆倉陽一は、次期警察庁長官の座を約束された伊豆倉知憲を父に持つという、ある意味途轍もない相手でした。
リアリティーが分からない人に喩え話をすると、とある会社で社内監査役が社長の息子をシメないといけない状況です。そして社長は不祥事を握りつぶす満々で、ガチで監査役を消そうとしているシチュエーションといったら分かりやすいでしょうか。
次々と送られて来る伊豆倉の息がかかった刺客達。日本では考えられない危険な状況でも、異常なまでリアリティを発揮しつつ読む者を物語の渦へと引きずり込む魔力。
果たして黒滝達はこの絶体絶命な状況を乗り越えられるのか……?
といった話です。
本作はですねえ、警察のタブーというタブーにこれでもかと触れた作品ではないかと思います。本職の警察官からすれば「そんなわけあるかい」とツッコミたくなるような場所もあるんでしょうが、文章力や構成の説得力が半端ないせいか、なんかコレ本当にあったんじゃないか? と思えるような出来になっています。
相変わらず日本国内でリボルバーやショットガンを使った派手な銃撃戦が起こる展開が描かれていますが、ある意味アウトロー版ロックマンみたいなところがあるのでまったく気にならないばかりか夢中になって読んでしまいます。
そして監察や公安とのせめぎ合い。権謀術数を巡らせながら相手の裏をかきあうエリート達の駆け引きがたまらないですね。
終盤では「正義とは何か」という原初的な問いが読者の胸の内で生まれるようにちょっとした闇と寂しさを置いていく展開。頭のてっぺんからつま先まで目が離せない作品でした。
まだまだ語れるところは多々ありますが、読んだ方が早い。というか読んでくれ(笑)。
ヘルドッグスが売れたらこちらも映画化が可能かと思いますので、脳内で映画化した映像を思い浮かべながら楽しく読めました。
まあ、好き嫌いは分かれるでしょう。ですが間違いなく傑作です。
ストーリーをざっくり説明すると、ドッグ・メーカーの異名を持つ観察の警部補、黒滝誠治が自殺した女性刑事である波木愛純の足跡をたどりつつ、彼女を死に追いやった伊豆倉陽一という不良警官を追うところから始まります。
様々な警察官の弱みを握っては自らのエス(情報提供者)へと仕立てていく黒滝。どれだけ屈強な人間でも彼にかかれば一匹の犬にされてしまう。そこから黒滝はドッグ・メーカーと呼ばれるようになりました。
警察内部の犯罪を取り締まる部署なのに、法令順守の欠片もない容赦なき追い込みをかける黒滝。
ですが、今回のターゲットである伊豆倉陽一はただの悪徳警官ではありません。
伊豆倉陽一は、次期警察庁長官の座を約束された伊豆倉知憲を父に持つという、ある意味途轍もない相手でした。
リアリティーが分からない人に喩え話をすると、とある会社で社内監査役が社長の息子をシメないといけない状況です。そして社長は不祥事を握りつぶす満々で、ガチで監査役を消そうとしているシチュエーションといったら分かりやすいでしょうか。
次々と送られて来る伊豆倉の息がかかった刺客達。日本では考えられない危険な状況でも、異常なまでリアリティを発揮しつつ読む者を物語の渦へと引きずり込む魔力。
果たして黒滝達はこの絶体絶命な状況を乗り越えられるのか……?
といった話です。
本作はですねえ、警察のタブーというタブーにこれでもかと触れた作品ではないかと思います。本職の警察官からすれば「そんなわけあるかい」とツッコミたくなるような場所もあるんでしょうが、文章力や構成の説得力が半端ないせいか、なんかコレ本当にあったんじゃないか? と思えるような出来になっています。
相変わらず日本国内でリボルバーやショットガンを使った派手な銃撃戦が起こる展開が描かれていますが、ある意味アウトロー版ロックマンみたいなところがあるのでまったく気にならないばかりか夢中になって読んでしまいます。
そして監察や公安とのせめぎ合い。権謀術数を巡らせながら相手の裏をかきあうエリート達の駆け引きがたまらないですね。
終盤では「正義とは何か」という原初的な問いが読者の胸の内で生まれるようにちょっとした闇と寂しさを置いていく展開。頭のてっぺんからつま先まで目が離せない作品でした。
まだまだ語れるところは多々ありますが、読んだ方が早い。というか読んでくれ(笑)。
ヘルドッグスが売れたらこちらも映画化が可能かと思いますので、脳内で映画化した映像を思い浮かべながら楽しく読めました。
まあ、好き嫌いは分かれるでしょう。ですが間違いなく傑作です。
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