新作の断片(「悪人の系譜」に出て来た大二郎を出そうかと)
- 2021/09/30
- 01:33
「いい女になったな」
「殺すぞ」
ニヤニヤと笑いを浮かべる褐色の男前。大二郎(だいじろう)は芹沢の変化にさして動揺していなかった。日に焼けた筋肉質な身体。鋭い眼。短く刈り込まれた金髪。こっそりEXILEに混ざってもバレそうにない男前。だが、その過去はやはり人並みではない。
地方で猛威を振るった半グレ集団――トゥームストーン。対抗勢力の巣窟に一〇トントラックで突っ込み、火炎瓶が飛び交う中でナイフや金属バットを使った殺し合いは、現在の東京でもなお語り草となっている。
大二郎は何人も死傷者が出た闘いで生き残り、亡くなった総長の跡を継いで幹部になった。
しばらくはヤクザですら忌避する武闘派半グレ集団として名を馳せながら、二代目総長の天龍由愛(てんりゅう ゆめ)に全権を託すと、自身は「堅気に戻る」と言って姿をくらませた。表面上ではそのようなストーリーになっている。
実際には地方の不良では飽き足らず、東京まで進出して新たな半グレ集団を結成した。名前も無く、国籍も無く、形も無い集団。限りなく透明に近い繋がりで闇の中を生きている。
芹沢とも当初は敵対する間柄だった。
大二郎率いる不良外国人の集団が、芹沢一味を取り囲んで袋叩きにした。芹沢自身も特殊警棒で対抗したが、集団に囲まれて金属バットでなぶり者にされたらどうしようもなかった。
朦朧とする意識の中、芹沢を見た大二郎が不良外国人達を止めた。後から聞いたら、芹沢が「タイプ」だったらしい。大二郎はゲイだった。理由はどうあれ、瀕死の芹沢は悪運で命拾いした。
「殺すぞ」
ニヤニヤと笑いを浮かべる褐色の男前。大二郎(だいじろう)は芹沢の変化にさして動揺していなかった。日に焼けた筋肉質な身体。鋭い眼。短く刈り込まれた金髪。こっそりEXILEに混ざってもバレそうにない男前。だが、その過去はやはり人並みではない。
地方で猛威を振るった半グレ集団――トゥームストーン。対抗勢力の巣窟に一〇トントラックで突っ込み、火炎瓶が飛び交う中でナイフや金属バットを使った殺し合いは、現在の東京でもなお語り草となっている。
大二郎は何人も死傷者が出た闘いで生き残り、亡くなった総長の跡を継いで幹部になった。
しばらくはヤクザですら忌避する武闘派半グレ集団として名を馳せながら、二代目総長の天龍由愛(てんりゅう ゆめ)に全権を託すと、自身は「堅気に戻る」と言って姿をくらませた。表面上ではそのようなストーリーになっている。
実際には地方の不良では飽き足らず、東京まで進出して新たな半グレ集団を結成した。名前も無く、国籍も無く、形も無い集団。限りなく透明に近い繋がりで闇の中を生きている。
芹沢とも当初は敵対する間柄だった。
大二郎率いる不良外国人の集団が、芹沢一味を取り囲んで袋叩きにした。芹沢自身も特殊警棒で対抗したが、集団に囲まれて金属バットでなぶり者にされたらどうしようもなかった。
朦朧とする意識の中、芹沢を見た大二郎が不良外国人達を止めた。後から聞いたら、芹沢が「タイプ」だったらしい。大二郎はゲイだった。理由はどうあれ、瀕死の芹沢は悪運で命拾いした。
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