新作の断片

　ストーキングが愛情表現だと思っている仲間に探知させた。
　優里奈が連れ去られたのは都心のタワーマンションだった。持ち主を調べると、東京凶闘連合の*スポンサー*である整形外科、{海老留|えびる}クリニックの社長、{海老留|えびる}{憂|ゆう}だった。表向きはタレント活動もこなす{海老留|えびる}{憂|ゆう}は、黒い交際も過去に何度か週刊誌に報じられている。そのたびに記事を書いた記者が不審死を遂げていた。
　{海老留|えびる}クリニックは化粧品でバカ息子の会社と競合していた。
　――点と線が繋がった。
　芹沢達はどうやらＤＩＥと{海老留|えびる}クリニックの暗闘に巻き込まれたらしい。
　東京凶闘連合の凶悪さは有名だった。不良外国人も積極的に取り込んでいった準暴力団は、信じられないスピードで拡張していった。
　東京を縄張りにしている指定暴力団の後ろ盾を得ると、強盗、薬物売買、売春、裏カジノなど、多角的な戦術で潤沢な資金を獲得していった。
　団体の名義を変えて、芸能プロダクションも経営している。母体が準暴力団だと知らないまま所属しているタレントも多数存在する。
　ＧＰＳは都心のタワーマンションから動かない。優里奈は敵の本丸で監禁されている可能性が高い。