新作の断片

（でんでんコンバータ仕様でそのまま貼り付けてるだけなので雑です）

　あっという間の出来事だった。
　芹沢達はいつもの通り、美人局稼業で大手化粧品会社、{ＤＩＥ|Drug Innovation Enforcement}の御曹司を狙っていた。親の脛を齧るバカ息子――世間からの冷ややかな視線も気にせず、気に入った女を金で買っては遊びほうけているろくでなしだった。
　――世の中の厳しさを教えてやるよ。
　酷薄な笑みを浮かべる芹沢。暗闇から赤外線スコープでラブホテルへと向かう優里奈と御曹司を見ていた。
　後はあのバカ息子を拉致するだけで良かったはずだった。
　芹沢が様子を窺っていると、ラブホテル街を歩く二人の前に、黒塗りのワゴンが現れた。
　ただならぬものを感じて、芹沢は駆けだした。だが、遅かった。
　ワゴンから飛び出る男達。目だし帽をかぶり、全身は鍛え上げられた筋肉で覆われていた。
　あっという間に優里奈とバカ息子を取り囲むと、スタンガンで気絶させて手際よく連れ去った。治安が良くない街とはいえ、夜中に堂々と誘拐が行われる光景は事件以外の何物でもなかった。