新作の断片
- 2021/07/19
- 00:58
傷んだ脚を引っ込める。ぶつけた脛が、ジンジンと痛んだ。
――蹴りはダメだ。
蹴りで注意を散らす作戦に出たが、どうもそれは通用しそうにない。これ以上蹴れば自分の方が歩けなくなるだけだろう。自然と殴り合いに持ち込むしかなくなった。
「バケモノめ」
自分にしか聞こえない声で悪態をつく。
事実、慶次はバケモノ以外の何者でもなかった。
まだ脚が痛む。蹴り続ければフットワークを使えなくなるだろう。それは愚かに過ぎる。
再び左回り。慶次はゆったりと構えている。
どう攻めるか考えあぐねているその刹那、すさまじいスピードで拳が迫って来た。
――ジャブ。いや、そんな生やさしい攻撃ではない。
喰らう側からすれば鉄球に匹敵する鋼鉄の拳が飛んでくる。ガード。弾き飛ばされる。防御が無意味だった。
ガードを破ったジャブは、そのまま直進して骸(むくろ)のテンプルを打つ。視界が歪む。神経が一瞬遮断されて、夜の校庭に転がった。
――蹴りはダメだ。
蹴りで注意を散らす作戦に出たが、どうもそれは通用しそうにない。これ以上蹴れば自分の方が歩けなくなるだけだろう。自然と殴り合いに持ち込むしかなくなった。
「バケモノめ」
自分にしか聞こえない声で悪態をつく。
事実、慶次はバケモノ以外の何者でもなかった。
まだ脚が痛む。蹴り続ければフットワークを使えなくなるだろう。それは愚かに過ぎる。
再び左回り。慶次はゆったりと構えている。
どう攻めるか考えあぐねているその刹那、すさまじいスピードで拳が迫って来た。
――ジャブ。いや、そんな生やさしい攻撃ではない。
喰らう側からすれば鉄球に匹敵する鋼鉄の拳が飛んでくる。ガード。弾き飛ばされる。防御が無意味だった。
ガードを破ったジャブは、そのまま直進して骸(むくろ)のテンプルを打つ。視界が歪む。神経が一瞬遮断されて、夜の校庭に転がった。
スポンサーサイト