新作の断片
- 2021/06/02
- 01:27
……どうする?
字幕のように途方に暮れたセリフが脳裡をよぎる。
カットマンもボンバーマンも、攻撃を当てさえすればどうにかなった。
だが、目の前の泡姫(ありえる)にはことごとく攻撃が当たらない。まるでローションまみれのパーネル・ウィテカーと闘っている気分だった。
負けるわけにはいかない。少なくともこんなわけのわからない変態には。
まともな男なら誰もが思うであろう言葉を浮かべつつ、下から顎へと迫るような軌道のパンチを放つ。滑る――当たらない。
爆弾を地雷代わりに置いた。バカだから踏んで爆死してくれるだろう。そんな希望を残して。
泡姫は自らのぬめりを利用して、ムーンウォークのような動きで爆風を回避する。気色悪いくせにスマートな部分を見せたのでイラついた。
どうすりゃいい?
自棄気味になりながら手榴弾を投げた。やはり体表を滑り、麗奈の近くで爆発する。
「バカ!」
罵倒。耳に入らないほど勝算が薄くなっているのを感じる。
絶望的な気分が思考を埋め尽くそうとしたまさにその時、骸(むくろ)の脳裡にはある考えが舞い降りてきた。
「あれ」を使えば、あるいは……。
骸は賭ける事にした。勝つとすれば、「あれ」しかない。
字幕のように途方に暮れたセリフが脳裡をよぎる。
カットマンもボンバーマンも、攻撃を当てさえすればどうにかなった。
だが、目の前の泡姫(ありえる)にはことごとく攻撃が当たらない。まるでローションまみれのパーネル・ウィテカーと闘っている気分だった。
負けるわけにはいかない。少なくともこんなわけのわからない変態には。
まともな男なら誰もが思うであろう言葉を浮かべつつ、下から顎へと迫るような軌道のパンチを放つ。滑る――当たらない。
爆弾を地雷代わりに置いた。バカだから踏んで爆死してくれるだろう。そんな希望を残して。
泡姫は自らのぬめりを利用して、ムーンウォークのような動きで爆風を回避する。気色悪いくせにスマートな部分を見せたのでイラついた。
どうすりゃいい?
自棄気味になりながら手榴弾を投げた。やはり体表を滑り、麗奈の近くで爆発する。
「バカ!」
罵倒。耳に入らないほど勝算が薄くなっているのを感じる。
絶望的な気分が思考を埋め尽くそうとしたまさにその時、骸(むくろ)の脳裡にはある考えが舞い降りてきた。
「あれ」を使えば、あるいは……。
骸は賭ける事にした。勝つとすれば、「あれ」しかない。
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