出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/04/06
- 01:10
とても嫌な思いを何度もした。
同期の女性社員の前では童貞であることを何度も公言され、男としての価値が無いかのように扱われた。
――幹部候補? ただの童貞だろ?
嘲りを含んだ笑いが居酒屋に響く。哄笑。やさしい哀れみを含んだ女子社員の苦笑い。
すべて壊れてしまえと思った。
そんなに童貞で悪いのか。
童貞は犯罪者なのか。
教師や親には貞淑であることをことさらに重要な要素として叩き込まれてきた。
あれは偽りだったというのか?
――裏切り者め。
俺は殉教者じゃない。
一人の男なのだ。
そのために周囲が期待するように生きてきた。
それがなぜこのような形で報いられるのか。
湧き上がる殺意。気付きもせずに笑い続ける同期。お前達の顔面を血で染めてやろうか。
いや、こいつらを殺したところで、俺はまた別の人間から嗤われるだけなのだろう。
誰もが自分よりも下等な人間を求めている。否定の沼に耽溺し、お互いのナルシズムを批判しながら糞を投げ合うこんな世の中だからポイズン。
同期の女性社員の前では童貞であることを何度も公言され、男としての価値が無いかのように扱われた。
――幹部候補? ただの童貞だろ?
嘲りを含んだ笑いが居酒屋に響く。哄笑。やさしい哀れみを含んだ女子社員の苦笑い。
すべて壊れてしまえと思った。
そんなに童貞で悪いのか。
童貞は犯罪者なのか。
教師や親には貞淑であることをことさらに重要な要素として叩き込まれてきた。
あれは偽りだったというのか?
――裏切り者め。
俺は殉教者じゃない。
一人の男なのだ。
そのために周囲が期待するように生きてきた。
それがなぜこのような形で報いられるのか。
湧き上がる殺意。気付きもせずに笑い続ける同期。お前達の顔面を血で染めてやろうか。
いや、こいつらを殺したところで、俺はまた別の人間から嗤われるだけなのだろう。
誰もが自分よりも下等な人間を求めている。否定の沼に耽溺し、お互いのナルシズムを批判しながら糞を投げ合うこんな世の中だからポイズン。
スポンサーサイト