出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/05
- 01:17
彼は数日後にまた店へ来た。この前に渡した割引券を持って。
うれしいな。好きってほっぺにチューしてあげる。照れる彼。かわいい。
どんな場であれ求められていないよりは求められている方がいい。指名してくれたなら、「うっかり」わたしを引いちゃった客よりも優遇して当たり前。
この日も個室で、店の人から隠れてパコパコ2回ヤる。使用済みのゴムはティッシュで包んでゴミ箱に捨てた。まずあさる人はいないでしょうって。
ああ、でもしあわせかも。
誰かに好きだって思われていて、それを全身で受けられるのっていつぶりなんだろう?
母親とはとうに救いがたい不仲になったし、あるとすればタチアナ事件前の父親ぐらいなんだろうか。そう考えると、わたしが愛情を受けたのはずいぶんと昔の話になるのかもしれない。
「ねえ」
「なんだい?」
「いや、なんでもない」
「なんだそれ」
「愛されてるなって感じたことある?」
「なんだ急に?」
「うん。いや、なんかそんなことが訊きたくて」
「俺は今、君から感じているよ。それとも俺の歪んだ妄想なのかな?」
「ごめん。難しくて何言ってるかわかんない」
「そうか」
しーん、と静まる。
なに、この中二病みたいな会話。
しょうもないないなあ、とは思いつつも、彼はわたしから愛情を感じるんだって。
うん。なんか、つるぺたの胸があったかくなってくるぞ。
言われてみれば、これが愛情って呼ばれるものなのかも。
たとえそれが、お金の上に成立したものだとしても。
だとすると、一人の女にお金をつぎこむ人の気持ちも少しはわかるのかな。
……タチアナ。
父親があの女に入れ込んだのも……。
いや、やっぱわかりたくない。
ロシア滅べ。
うれしいな。好きってほっぺにチューしてあげる。照れる彼。かわいい。
どんな場であれ求められていないよりは求められている方がいい。指名してくれたなら、「うっかり」わたしを引いちゃった客よりも優遇して当たり前。
この日も個室で、店の人から隠れてパコパコ2回ヤる。使用済みのゴムはティッシュで包んでゴミ箱に捨てた。まずあさる人はいないでしょうって。
ああ、でもしあわせかも。
誰かに好きだって思われていて、それを全身で受けられるのっていつぶりなんだろう?
母親とはとうに救いがたい不仲になったし、あるとすればタチアナ事件前の父親ぐらいなんだろうか。そう考えると、わたしが愛情を受けたのはずいぶんと昔の話になるのかもしれない。
「ねえ」
「なんだい?」
「いや、なんでもない」
「なんだそれ」
「愛されてるなって感じたことある?」
「なんだ急に?」
「うん。いや、なんかそんなことが訊きたくて」
「俺は今、君から感じているよ。それとも俺の歪んだ妄想なのかな?」
「ごめん。難しくて何言ってるかわかんない」
「そうか」
しーん、と静まる。
なに、この中二病みたいな会話。
しょうもないないなあ、とは思いつつも、彼はわたしから愛情を感じるんだって。
うん。なんか、つるぺたの胸があったかくなってくるぞ。
言われてみれば、これが愛情って呼ばれるものなのかも。
たとえそれが、お金の上に成立したものだとしても。
だとすると、一人の女にお金をつぎこむ人の気持ちも少しはわかるのかな。
……タチアナ。
父親があの女に入れ込んだのも……。
いや、やっぱわかりたくない。
ロシア滅べ。
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