出すかどうか微妙な新作の断片

　貧しさの癒えぬまま、中学生になった。

　テレビとか見てて、ああ、アイドルにでもなれたら人生一発逆転なのかも、なんて思うけど、鏡を見て音速で撤回する。

　無理だって。アイドルなんてかわいいの頂点に立っている人がなるような人種なんだから。そんな彼女達でも裏側では必死こいているのは子供のわたしでもある程度は理解していた。

　わたしは、がんばれない。

　がんばる気もない。

　夢は叶わない。

　だから傷付かないようにムダに夢を見ようとか、やめようと思う。

　おなかが鳴る。今日もろくなものを食べていない。

　モヤシで育てられた身体。かなしいほど平べったいおっぱい。きっと誰も興奮しない。変態以外には。

　ああ……。

　ため息。あきらめ。希望なし。

　何のために生きているんだろう？

　中二病？

　いや、違うと思う。

　もうちょっと、タチの悪い何か。

　ふつうに、生きたいなあ。

　でも、明らかに普通じゃない。

　友達もいるけど、そこまで深く理解し合える何かがあるわけじゃなくて、わたし自身も友達に対してそんな簡単にわたしを理解したつもりになってほしくなくて、でもわたしはそんなにお高くとまっていいほど大層なものではないと知っていて、助けを受けたいけど、いざ誰かがわたしを助けようとするとそれを受け入れることができない。

　ややこしい思考をこねくり回していると、涙が出そうになる。

　そんなわたしを見た友達が声をかけてくれるけど、この気持ちを誰一人理解できないんだろうなと思うと余計につらかった。
　高校に行くつもりはなかった。

　家の財力を考えて、とてもじゃないけどそんなお金があるとは思えなかった。

　でも、生きている限りはお金がないといけない。母とは最低限の会話しかしていない。とりあえず家は出ていきたかった。

　これからどうやって生きていくのだろう？

　まったく希望のない未来。そこに注意を向けるだけで嫌になる。

「キャバ。風俗」

　つぶやいて、中学卒業してすぐじゃ無理だよなって思う。

　自分の胸をさする。つるぺた。４文字だけで表現できる悲しさ。

　お金。お金がほしい。