新作の断片
- 2020/08/21
- 00:52
しばらくの「お見合い」の後、黒崎が再びジャブを放つ。打ち下ろすような左。体格差もあり、当たればかなりのダメージになる。
だが、華原は再び流れるようなボディーワークでこれをかわすと、バックステップを踏み、刹那、一気に踏み込む。恐ろしいスピードで右ボディーストレートを打ち込む。
黒崎はこれをガードする。だが、腹を守り抜いた瞬間、腕に激痛が走る。
血――左腕のヒジから滴っていた。
カミソリパンチ――文字通りカミソリを仕込んだ凶悪な拳が、黒崎の腕を切り裂いていた。
残酷な歓声。血を見た観客達が悦んでいる。
口元が歪みそうなのを堪える。血や、苦痛を見せる事は、闘いの場においては相手にエールを送っているようなものだ。どんなに痛くても、平然とした顔ですましていなければならない。
華原が嗤う。「強がっているんじゃねえよ」とでも言いたいような顔をしていた。
――あの右拳には武器が仕込んである。
黒崎はすぐに悟った。
だが、華原は再び流れるようなボディーワークでこれをかわすと、バックステップを踏み、刹那、一気に踏み込む。恐ろしいスピードで右ボディーストレートを打ち込む。
黒崎はこれをガードする。だが、腹を守り抜いた瞬間、腕に激痛が走る。
血――左腕のヒジから滴っていた。
カミソリパンチ――文字通りカミソリを仕込んだ凶悪な拳が、黒崎の腕を切り裂いていた。
残酷な歓声。血を見た観客達が悦んでいる。
口元が歪みそうなのを堪える。血や、苦痛を見せる事は、闘いの場においては相手にエールを送っているようなものだ。どんなに痛くても、平然とした顔ですましていなければならない。
華原が嗤う。「強がっているんじゃねえよ」とでも言いたいような顔をしていた。
――あの右拳には武器が仕込んである。
黒崎はすぐに悟った。
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