「暗手」が面白すぎて止まらなかった件
- 2020/05/16
- 21:00
もう一つの仕事も復活しはじめ、いよいよ殺人的な忙しさが戻りそうな雰囲気になってきました。
滑り込みで馳星周の「暗手」を読了しました。最近出した「PCM」の文体に多大な影響も与えた目下絶賛マイブーム中の馳星周新刊ですね。
本作は先日にご紹介した「夜光虫」の続編なのですが、おそらく「暗手」から読んでも大丈夫。でも「夜光虫」から読んだ方が楽しめるのは間違いなさそうですね。
(読み放題で読めます)
物語は前作「夜光虫」で八百長に関わった加倉という男が主人公です。
前作では裏社会の住民に怯えてどんどん堕ちていくさまが描かれていましたが、今作ではよりプロフェッショナルな殺し屋になっている。
今回はサッカーの八百長に関わっており、日本人でありながらイタリアにて活躍するゴールキーパーの大森に近付いていき、次第に「味方」として親交を深めながら、彼をサッカー界の闇へと引きずりこんでいく姿が描かれています。
そして馬兵(マービン)という中国人でありながら伝説の殺し屋までが出てきて……というお話ですね。
今作では主人公がすでに真っ黒な闇の住人になっており、それゆえに悪事に関してまったく躊躇が無く、平気で他人を殺します。
なので前作では知らぬ間に闇の世界へと堕ちていく弱い人間が描かれていたのに対して、今作ではその気になればいつでも人を殺せる冷血な殺人鬼として主人公は描かれています。
そのせいもあり、今回は心理描写もさることながら、アクションの描写が多く、スリリングな裏社会の住人達が織りなすバトルがこれでもかと出てきます。私好みの展開でしたね。
ただ、冷血鬼であったはずの主人公も、ある出来事を機にだんだんと人間へと戻っていきます。死にたいはずなのに死ねず、闘いになれば殺される事を選ばず冷静に相手を殺していく。そういった矛盾を孕みながらも、どこかに生への、もっと言うと躍動感に満ちた人生への秘められた渇望のようなものが垣間見える事が多々あり、そこに読者は共感してあっという間にラストまで読んでしまうという強烈な側面を持っています。
いやあ、面白かった。
Amazonのレビューで最初に付いた星がたしか二つだったかと記憶していましたが、多分違う作品を読んでいたのでしょう。それとも日本語が読めなかったのか。
ともかくオススメですね。映画化が不可に思えるほど壮大でダークな小説でした。
こういうのが書けたらもう筆を折ってもいいやと思えるのかもしれませんね。
滑り込みで馳星周の「暗手」を読了しました。最近出した「PCM」の文体に多大な影響も与えた目下絶賛マイブーム中の馳星周新刊ですね。
本作は先日にご紹介した「夜光虫」の続編なのですが、おそらく「暗手」から読んでも大丈夫。でも「夜光虫」から読んだ方が楽しめるのは間違いなさそうですね。
(読み放題で読めます)
物語は前作「夜光虫」で八百長に関わった加倉という男が主人公です。
前作では裏社会の住民に怯えてどんどん堕ちていくさまが描かれていましたが、今作ではよりプロフェッショナルな殺し屋になっている。
今回はサッカーの八百長に関わっており、日本人でありながらイタリアにて活躍するゴールキーパーの大森に近付いていき、次第に「味方」として親交を深めながら、彼をサッカー界の闇へと引きずりこんでいく姿が描かれています。
そして馬兵(マービン)という中国人でありながら伝説の殺し屋までが出てきて……というお話ですね。
今作では主人公がすでに真っ黒な闇の住人になっており、それゆえに悪事に関してまったく躊躇が無く、平気で他人を殺します。
なので前作では知らぬ間に闇の世界へと堕ちていく弱い人間が描かれていたのに対して、今作ではその気になればいつでも人を殺せる冷血な殺人鬼として主人公は描かれています。
そのせいもあり、今回は心理描写もさることながら、アクションの描写が多く、スリリングな裏社会の住人達が織りなすバトルがこれでもかと出てきます。私好みの展開でしたね。
ただ、冷血鬼であったはずの主人公も、ある出来事を機にだんだんと人間へと戻っていきます。死にたいはずなのに死ねず、闘いになれば殺される事を選ばず冷静に相手を殺していく。そういった矛盾を孕みながらも、どこかに生への、もっと言うと躍動感に満ちた人生への秘められた渇望のようなものが垣間見える事が多々あり、そこに読者は共感してあっという間にラストまで読んでしまうという強烈な側面を持っています。
いやあ、面白かった。
Amazonのレビューで最初に付いた星がたしか二つだったかと記憶していましたが、多分違う作品を読んでいたのでしょう。それとも日本語が読めなかったのか。
ともかくオススメですね。映画化が不可に思えるほど壮大でダークな小説でした。
こういうのが書けたらもう筆を折ってもいいやと思えるのかもしれませんね。
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