反逆のカリスマ
- 2018/12/19
- 17:00
視界が真っ暗になったのち、わたくしはまたさっきまで自分の身体として使っていた筋肉ダルマの死体を見下ろしておりました。
ああ、また死んだのか。
悲嘆というより、犬の糞を踏んずけたような心持ちで言いました。
コウドウ=カイは人に似た見た目をしておりましたが、やはり魔物は魔物でございました。筋肉ダルマの顔は北斗の拳で殺されたザコのようにひしゃげており、ブサイクに拍車がかかっておりました。
空をふよふよと浮かんでいると、またあの考えが脳裏――って脳はさっきグシャグシャにされたのですが――に浮かびました。
目の前で「愚か者め」と言い放つコウドウ=カイの中に入っていけそうな気がしたのです。
どうせ失敗しても大した事はありませんから、コウドウ=カイの頭蓋骨目がけてつっこんでいきました。そうしたら、また霊魂にしか感じられないバチンという独特な感触があって、そのまま視界が暗くなりました。
目を開けると、筋肉ダルマをステロイド漬けにしたような二の腕が視界に映りました。
大して頭の良くないわたくしでも、ここまで来ればさすがに理解しました。
やはり、私は一種の異能を持ってこの世界にやって来たようです。
それは、闘った相手の肉体を乗っ取る能力。
わらしべ長者の肉体版というやつでしょうか。対戦相手からすれば恐怖の能力を手にしているようです。
筋肉ダルマだった頃にはコウドウ=カイに傷一つつけられませんでしたが、結果から見ればそれは正解だったようです。私はまた新しい体を手に入れました。
幸いな事に、今度の体は魔物でありながらほとんど人間でございます。服も着ているし、ツノがあるぐらいで他は大して気になる点がございません。
私の脳裏には素敵な考えが浮かんできました。
先日には文無しになったところですし、ちょうどより強い肉体を手に入れたのですから、この身体でまた勇者の登録をしてやろうという按配です。
嗚呼、今日からわたくしは反逆のカリスマでございます。ここいらで猛威を振るっていた魔物が改心して世界を救うなんて素敵なお話ではありませんか。
希望に胸を震わせると、私はまた城下町へと歩を進めました。また勇者に立候補してザコを殺し、その勢いで支援金をせしめる予定でございます。
無駄にハイスペックになった身体で、スキップをしながら町へと戻って行きました。
ああ、また死んだのか。
悲嘆というより、犬の糞を踏んずけたような心持ちで言いました。
コウドウ=カイは人に似た見た目をしておりましたが、やはり魔物は魔物でございました。筋肉ダルマの顔は北斗の拳で殺されたザコのようにひしゃげており、ブサイクに拍車がかかっておりました。
空をふよふよと浮かんでいると、またあの考えが脳裏――って脳はさっきグシャグシャにされたのですが――に浮かびました。
目の前で「愚か者め」と言い放つコウドウ=カイの中に入っていけそうな気がしたのです。
どうせ失敗しても大した事はありませんから、コウドウ=カイの頭蓋骨目がけてつっこんでいきました。そうしたら、また霊魂にしか感じられないバチンという独特な感触があって、そのまま視界が暗くなりました。
目を開けると、筋肉ダルマをステロイド漬けにしたような二の腕が視界に映りました。
大して頭の良くないわたくしでも、ここまで来ればさすがに理解しました。
やはり、私は一種の異能を持ってこの世界にやって来たようです。
それは、闘った相手の肉体を乗っ取る能力。
わらしべ長者の肉体版というやつでしょうか。対戦相手からすれば恐怖の能力を手にしているようです。
筋肉ダルマだった頃にはコウドウ=カイに傷一つつけられませんでしたが、結果から見ればそれは正解だったようです。私はまた新しい体を手に入れました。
幸いな事に、今度の体は魔物でありながらほとんど人間でございます。服も着ているし、ツノがあるぐらいで他は大して気になる点がございません。
私の脳裏には素敵な考えが浮かんできました。
先日には文無しになったところですし、ちょうどより強い肉体を手に入れたのですから、この身体でまた勇者の登録をしてやろうという按配です。
嗚呼、今日からわたくしは反逆のカリスマでございます。ここいらで猛威を振るっていた魔物が改心して世界を救うなんて素敵なお話ではありませんか。
希望に胸を震わせると、私はまた城下町へと歩を進めました。また勇者に立候補してザコを殺し、その勢いで支援金をせしめる予定でございます。
無駄にハイスペックになった身体で、スキップをしながら町へと戻って行きました。
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