明日がまったく見えません
- 2018/11/16
- 17:00
ようやく人の住むところを見つける事が出来ました。
全身が軋みますが、なんとかこの日記を続けようと思います。今日は色々とあり過ぎました。
かの草原をトボトボと歩いていた私は、遠くに人のような影が動くのを見つけました。
良かった。これで助かる。
そう思って近づいて行きましたところ、その人達は何と言いますか、ずいぶんと大柄な方達に見えました。
そこでおかしいと気づけば良かったのかもしれませんが、「さっさと誰かと知り合い、メシでもおごってもらってからついでに泊めてもらって、そこの娘とワンナイトラブを楽しもう」と思っていた私は、早く独りでいる時間に終止符を打ちたいがために、その人達に声をかけてしまったのです。
振り返った彼らを見たわたくしは凍りついてしまいました。
というのも、そいつらのツラときたらブタのような鼻に前頭部あたりに二本のツノが付いているのですから。
その二の腕は強かった頃のボブ・サップを思わせ、殴られたら普通に殺される予感しかいたしません。
彼らが振り返った時、正直な感想を言えば、「ああ、これは殺されるな」と思いました。
なんだか棍棒みたいな物を握っていましたし、初めて会ったのにその目は明白に「お前を殺す」と物語っておりました。
ただ、無抵抗に殺されるのも癪でしたので、ひとまず闘ってみる事にしました。私は底辺とはいえ元プロボクサーでしたし、こういった転生モノにはチートというか、主人公ですら知らない能力が勝手に開花して俺TUEEEE! みたいな展開があるのが常でしたので。
その場でステップを踏んで「カモンメ~ン」と挑発してみたところ、バカだから真正面から棍棒を振り下ろしてくれました。
そいつをサイドステップでかわし、「死ねウラアア」と顔面に全力で右フックのカウンターを叩き込んだのです。
これだけ綺麗にカウンターを決めた事もあまりありませんでしたので、「ああ、これは死んだな」と思いながら拳を振り抜きました。
ところがです。私のベストパンチを受けたバケモノはピンピンしているではありませんか。
ヌヌヌイ……。
厭な予感がしました。そして、それは早くも的中しました。バケモノは横に棍棒を薙ぎ払いました。こんなの受けたらたまらないと、両腕でガードするもむなしく、そのまま吹っ飛ばされます。多分、二回転はさせられたのだと思います。レフリーがいたら止めていたでしょう。
忘れておりました。殺し合いにフライ級は存在しないのだという事を。
規格外、というか規格そのものが無いのですから、その威力が小男の私にどれだけの威力を持つのか、前もって計算しておかなければいけませんでした(過去形)。
ゴロゴロと転がって、二秒ぐらい死んで、死んでいる場合じゃない事に気付いて跳ね起きました。こんなバケモノにどうやったって勝てっこありません。
「これは叶わない」と思うが早く、私は敵に背を向けてスタコラと走って逃げました。こんな猛獣と闘おうなんてアホの極みでしかありません。闘ったところで、きっと殺された上に「熊に闘いを挑んで殺されたオモシロ格闘家」のような称号をもらって、嘲笑とともにその名を歴史に刻むだけに違いありません。
幸いというか、あても無く走って逃げ回っていたところ、なにやら城のようなものが見えてきましたので、そこに向かって全力で走って逃げました。
バケモノを撒いたのか、それとも奴らが単に私への興味を失っただけなのか、城下町の外れのようなところに辿り着き、入口にいた守衛を見て安心したのか、そのままバタリと倒れたら知らぬ間に宿屋へと運ばれて、医者に見てもらってとんでもない金額の領収書を目の前に絶望中という按配でございます。
嗚呼、話が違うではありませんか。
転生したら、チートで楽勝なのではなかったのですか?
生前も、このような不条理に振り回されてきたような気がいたします。
今でも憶えています。仲の悪いトレーナーにミドル級の選手とマスボクシング(軽いスパーリング)を命じられ、マスだと言っているのに本気で打ってくるバカにマジギレして本当に喧嘩のような「マス」ボクシングに手を染めた事を。
しかし今回は本当に殺されかかりました。
どうも私にチートな能力は適用されなかったようです。異世界に出張してきてモブ扱いでございますか。神に出会ったら訴訟してやろうかと思っております。
さて、早くも生きていく気力を失いました。
現世に厭き厭きしてこの世界へとやって来たのに、まったく未来というやつが見えてきません。
私は何を希望に生きていけばいいのでしょうか?
明日がまったく見えません。
全身が軋みますが、なんとかこの日記を続けようと思います。今日は色々とあり過ぎました。
かの草原をトボトボと歩いていた私は、遠くに人のような影が動くのを見つけました。
良かった。これで助かる。
そう思って近づいて行きましたところ、その人達は何と言いますか、ずいぶんと大柄な方達に見えました。
そこでおかしいと気づけば良かったのかもしれませんが、「さっさと誰かと知り合い、メシでもおごってもらってからついでに泊めてもらって、そこの娘とワンナイトラブを楽しもう」と思っていた私は、早く独りでいる時間に終止符を打ちたいがために、その人達に声をかけてしまったのです。
振り返った彼らを見たわたくしは凍りついてしまいました。
というのも、そいつらのツラときたらブタのような鼻に前頭部あたりに二本のツノが付いているのですから。
その二の腕は強かった頃のボブ・サップを思わせ、殴られたら普通に殺される予感しかいたしません。
彼らが振り返った時、正直な感想を言えば、「ああ、これは殺されるな」と思いました。
なんだか棍棒みたいな物を握っていましたし、初めて会ったのにその目は明白に「お前を殺す」と物語っておりました。
ただ、無抵抗に殺されるのも癪でしたので、ひとまず闘ってみる事にしました。私は底辺とはいえ元プロボクサーでしたし、こういった転生モノにはチートというか、主人公ですら知らない能力が勝手に開花して俺TUEEEE! みたいな展開があるのが常でしたので。
その場でステップを踏んで「カモンメ~ン」と挑発してみたところ、バカだから真正面から棍棒を振り下ろしてくれました。
そいつをサイドステップでかわし、「死ねウラアア」と顔面に全力で右フックのカウンターを叩き込んだのです。
これだけ綺麗にカウンターを決めた事もあまりありませんでしたので、「ああ、これは死んだな」と思いながら拳を振り抜きました。
ところがです。私のベストパンチを受けたバケモノはピンピンしているではありませんか。
ヌヌヌイ……。
厭な予感がしました。そして、それは早くも的中しました。バケモノは横に棍棒を薙ぎ払いました。こんなの受けたらたまらないと、両腕でガードするもむなしく、そのまま吹っ飛ばされます。多分、二回転はさせられたのだと思います。レフリーがいたら止めていたでしょう。
忘れておりました。殺し合いにフライ級は存在しないのだという事を。
規格外、というか規格そのものが無いのですから、その威力が小男の私にどれだけの威力を持つのか、前もって計算しておかなければいけませんでした(過去形)。
ゴロゴロと転がって、二秒ぐらい死んで、死んでいる場合じゃない事に気付いて跳ね起きました。こんなバケモノにどうやったって勝てっこありません。
「これは叶わない」と思うが早く、私は敵に背を向けてスタコラと走って逃げました。こんな猛獣と闘おうなんてアホの極みでしかありません。闘ったところで、きっと殺された上に「熊に闘いを挑んで殺されたオモシロ格闘家」のような称号をもらって、嘲笑とともにその名を歴史に刻むだけに違いありません。
幸いというか、あても無く走って逃げ回っていたところ、なにやら城のようなものが見えてきましたので、そこに向かって全力で走って逃げました。
バケモノを撒いたのか、それとも奴らが単に私への興味を失っただけなのか、城下町の外れのようなところに辿り着き、入口にいた守衛を見て安心したのか、そのままバタリと倒れたら知らぬ間に宿屋へと運ばれて、医者に見てもらってとんでもない金額の領収書を目の前に絶望中という按配でございます。
嗚呼、話が違うではありませんか。
転生したら、チートで楽勝なのではなかったのですか?
生前も、このような不条理に振り回されてきたような気がいたします。
今でも憶えています。仲の悪いトレーナーにミドル級の選手とマスボクシング(軽いスパーリング)を命じられ、マスだと言っているのに本気で打ってくるバカにマジギレして本当に喧嘩のような「マス」ボクシングに手を染めた事を。
しかし今回は本当に殺されかかりました。
どうも私にチートな能力は適用されなかったようです。異世界に出張してきてモブ扱いでございますか。神に出会ったら訴訟してやろうかと思っております。
さて、早くも生きていく気力を失いました。
現世に厭き厭きしてこの世界へとやって来たのに、まったく未来というやつが見えてきません。
私は何を希望に生きていけばいいのでしょうか?
明日がまったく見えません。
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