次回作の断片

　10ｔトラックで門扉に突っ込んだ。

　衝撃音と、ロケットに乗ってるんじゃねえかとすら思えるＧが全身を襲う。歯を食いしばって耐えていると、膨らんだエアバッグが鼻っ柱を直撃して、目の前は真っ暗なくせに闇が滲んだ。

　カチコミ用にフロント部分を強化しておいた巨大トラックは、ものの見事に嫌みったらしい豪邸の正門を破壊しつくした。

「なんだ。何があった？」

　トラックの外側では護衛らしき集団が泡を食っていた。そりゃそうだろうけどな。

　エアバッグから顔を起こすと、さっきの一撃で出た鼻血がボタボタと落ちていた。どうせかすり傷だ。この後に想定されるケガに比べたら。

　ひん曲がったドアを蹴り開けると、ダッシュボードに隠しておいたサブマシンガを２丁取り出す。これから婆さんの千倍返しをしてやるよ。

　トラックから降りると、ガラの悪い男達が怒号交じりに集まって来た。まるで、一匹のウサギを狩るためにオオカミを総動員したみたいなみっともない光景だった。

　ビビったら負けだ。セミオートのサブマシンガンを両手で持ち、脇腹で銃床を固定する。これからお前らが背中に彫ってる観音様に会わせてやるよ。

　身体を回転させながら、マシンガンのトリガーを引いた。さっきまで俺を取り囲んでいた怒号は渇いた銃声とともに悲鳴へと変わり、全身を穿たれた護衛連中は血しぶきを上げながらバタバタと倒れていった。

「なめんなコラア！」

　背後にバールを振り上げる男がいた。お前がバカで感謝する。声を上げてくれなかったらそのままバールを喰らっていただろうから。

　サブマシンガンの弾を男の手に向けて吐き出すと、起死回生の一撃を狙うバールは指ごと吹っ飛んでいった。激痛に呻く男のタマを蹴り上げて、地獄の苦しみに苛まれる間際にその眉間を撃ち抜いた。苦しめるのは砧のクソ野郎だけでいい。

　トラックの裏側に隠れてサブマシンガンの{弾倉|マガジン}を素早く交換すると、グレネードのピンを抜いて投擲した。耳をふさいで伏せていると、悲鳴と爆音が鳴り響く。これからここを自由過ぎるヶ丘と呼んだらいい。