境目
- 2018/08/07
- 03:59
ヤフーの広告だったかなんだかで知った「愛と呪い」という漫画があったのでDLして読んでみました。
以下、内容紹介から抜粋。
物心ついた頃には始まっていた父親からの性的虐待、宗教にのめり込む家族たち。愛子は自分も、自分が生きるこの世界も、誰かに殺して欲しかった。阪神淡路大震災、オウム真理教、酒鬼薔薇事件……時代は終末の予感に満ちてもいた。「ここではないどこか」を想像できず、暴力的な生きにくさと一人で向き合うしかなかった地方の町で、少女はどう生き延びたのか。『ぼくらのへんたい』の著者が綴る、半自伝的90年代クロニクル。
上記からも分かるようにクソ重い作品ですね。
ある意味、自分が信じるものは何か。縋るものの無い人間がどのように生きていくのか、という事を考えさせられる作品でありました。
とにかくねえ、救いが無いんですよね。
父親から公然と性的虐待を受けても家族は笑ってるだけとか。
作品紹介にもありましたけど、 酒鬼薔薇事件の犯人が書いた自叙伝の抜粋もあったみたい(完全無視してたので実際は知りません。雰囲気的に多分そうだろうなと)で、今にも本当の狂気の側へと飛び移ろうかという登場人物の心理が生々しく描かれていて、これまたいい。
酒鬼薔薇の抜粋文から読んで思ったんですけど、一言で言えばこの人、少しも反省してないなと。
限りなく透明な存在であるという意識は個性というものが極限まで薄められた現代では誰しも大なり小なりは感じているもので、実は彼が感じている懊悩というのはそこまで非凡なものではないのですよね。
自分が誰なのか知りたいから人はボクサーになったり歌手を目指したり企業家として頂点を獲ろうと目指すのであって、彼のような人間がやった事は結局自分より弱い人間を生贄にして、労せず人の記憶に残ろうとしただけなんですよね。
とまあ話は盛大に脱線しましたけど、この後どうなるんでしょうねえ。非常に気になりますねえ。ある種「金閣」のような色気を感じるし、半自伝的な作品らしいので単なるメロドラマの域はとっくに超えていると思います。
逆に小説にも出来るのにな、と色々な考えを持ちながら読みました。
すげー暗い話ですけど、オススメですね。
人の心に浮かんだ闇は、拳でなく作品として人を殴るべきなのです。
そこが自らの透明さを克服しようとした者と逃げた者の違いです。
久しぶりに「死人失格」の無料配布を行います。
期間は水曜午後5時あたりから5日間です。
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