技巧という礎

今さら感がありますが、何事に於いても巧さはすべての試みを成功させる礎になります。

面白い人が適当に喋っているだけで面白いように、その逆もまた然りです。

小説に限らず世に前衛的な作品はたくさんありますが、やりたい事に技術が追いついていない事は私も含めて多々あるわけで、多少手垢の付いたネタでも表現の仕方が上手ければ読書は既視感があるとか言いながらも読んでくれるわけです。

可愛いは正義の類型ですが、たまに可愛い顔してド下ネタをぶっ込んでくる人がいますよね。あれが何で面白いかって言われたら、それは単に彼女達が可愛いからです。

そして、彼女達はそれを知っています。

あれは綺麗な人が言うから「可愛い顔してなんちゅう事を……!」という芸が成立するわけです。

仮に同じ事をブスがやってみなさい。それを見た人の評価は「下品なブスだな」で終わりでしょう。

このように、前衛的な表現というのは基盤にある技巧が機能しているからこそ成立するのです。

巧く上司のモノマネをやってバカにしても、許されるばかりか賞賛すら集める場合があります。

下手な奴が同じ事をすれば即ギルティです。
仕方ないでしょう？

彼が面白くても、あなたはつまらないのだから。

このように、文字通り芸は身を助けるのです。

そのためには、日頃より呼吸レベルの自己研鑽と遊び心が必要なわけですよ。

結局のところ、悪フザケも芸事の一つというわけです。