出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/31
- 01:17
ある日、族同士の抗争になった。金属バットやバールでの殴り合い。いや、殺し合い。実際に死傷者が出た。 俺は無我夢中でバットを振り続けていた。あちこちから飛んでくる殺傷力十分の得物。怯めば即、死が待っている。 いつ死んでもいいはずだったのに、その時ばかりは生きたいと思った。虫のいい話だ。だが、笑われ謗られようが俺は生きたかった。本当の人生を手に入れるまでには、死ぬわけにはいかなかった。 そんな中、一...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/30
- 01:01
街はずれの工場で働いた。ろくでもない奴らばかりだった。 休み時間には堂々とマリファナを決める。それがごろつき達のルーティンだった。 工場ではちょっとしたことで諍いが起こる。肩がぶつかった。目つきが気に入らない。次の工程を無視して自分のラインばかり優先する。理由なんてあって無いようなものだった。 ちょっとした諍いはすぐに殴り合いへと発展した。それは争いを好まない俺ですら例外では無かった。 次第にそ...
「インフルエンス」書評
- 2021/03/28
- 00:54
最近WOWOWで「インフルエンス」のドラマが始まりまして、当初から「なにこれ面白そう」と思っていたので毎週録画にしつつ、原作本を先に読了しました。面白かった。 ストーリーをざっくりと説明すると、冒頭にとある作家へ「会いたい」という内容の手紙が届いた話から始まります。自分の人生を小説にしてほしい――結構な割合でいる困ったちゃんの手紙に見えつつも、その作家はなぜか差出人の女性に強く惹かれました。女性の名前...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/22
- 00:31
まったくブレずによく言えば優等生、悪く言えば目標がないからとりあえずエリートコースを進んでいった俺は、何の苦労もなく大学に進学してとれる単位をすべて取ってゼネコンに就職することとなった。 理由は大してない。そういう生き方をしていけば無難なように見えただけだ。 どこに行っても即戦力になった俺は、人生を無難中の無難で生きていったが、同時にすべてがシナリオ通りにいく日常に退屈さを感じていた。 加えて、...
このセルフパブリッシングがすごい!2021年版」の話
- 2021/03/21
- 00:25
毎日400字ペースはまだやっておりまして、ただ、今年は殺人的な忙しさが復活してしまたので書くのめっちゃ遅いですね。まあ進んでいるだけでいいかと。先日発売された、というか目下無料で誰でも読めるようになった「このセルフパブリッシングがすごい!2021年版」を読了しました。今年も内容が濃くてすごく面白かった。 知ってはいましたけど、この企画も今回がラストになるとの事で、寂しい気持ちもありながらずっとずっと孤...
出すか出さないか微妙な新作の断片(だんだん男性限定ホラー度高めに)
- 2021/03/20
- 00:30
「えっ……」 理解が追い付かず、思考がフリーズする。 パソコン画面には「ブロックされました」の表示。 この前に送ったメッセージに一向に返信がなかったので、何通も送ってみた。ひとつひとつがわたしなりに愛情のこもった、あたたかいメッセージだったと思う。 ねえ、わたしはこんなにあなたのことを想い続けていたんだよ? ずっとずっと会いたくて、恋人も作らずに待っていたんだよ? あなたを。 そう、あなたを。 過去...
出すか出さないか微妙な新作の断片(視点を男性側に変えてみると結構恐怖だったりする)
- 2021/03/17
- 07:00
Faithbookは基本実名で登録するから、たぶん本人なんだと思う。同姓同名の可能性も無きにしもあらずだけど、職歴とか趣味とか、言葉の使い方のクセを見ると彼以外はありえない。 胸が高鳴る。 何年も前に叶わなかった恋が、こんな形で実を結ぼうとしている。 今は誰もがやり方しだいで生き別れの人と会える時代になっている。奇跡が起きようとしているのを感じて、わたしの胸は高鳴った。 自分でもFaithbookのアカウントを作る...
買え
- 2021/03/16
- 01:03
スナイパーのように「そろそろ出るか」と数時間ごとに「このセルパブ」で検索し続けた結果、「このセルフパブリッシングがすごい!2021年版」が密かに出ているのを発見。 密かにプライスマッチで0円にされるのは知っていましたが、有料で購入しました。とにかくずっとずっと楽しみに待っていた企画だったので本当に楽しみにしています。ランキングだけざっと見ましたが、拙著「PCM」が自分でも投票した「鬼嫁探偵」と並んで4位...
「路上のX」書評
- 2021/03/14
- 00:09
全然知らなかったのですが、kindleストアのオススメで「路上のX」という作品を見つけまして、「今書いてる作品と似たような属性だからあんま読まない方がいいかも」とも思いましたが、なんかすごく面白そうだったので欲望に抗えず、一気読みしました。 主人公は薄幸なJKである真由ちゃんでして、この娘は親に親戚の家に預けられ、そのまま両親が失踪するという悲惨な人生を歩んでいます。無理くり兄の娘を押し付けられた叔父は...
出すか出さないか微妙な新作の断片(徐々にホラー)
- 2021/03/13
- 00:28
涙が出てくる。 スマホが鳴っただけなのに。 彼かもしれない。 かすかな希望が裏切られるだけで、まっ平らな胸がいちいち傷付いた。 わたしのことを本気で好きになって、お金を使い果たすまで通いつめた人たちもいた。 彼らも、わたしから電話が来たかもしれないって喜んではすぐに落ち込む夜を過ごしていたのかな。因果応報ってやつ? 非通知の電話は週に何回か鳴った。 わたしに恨みのある誰かが公園のトイレあたりに「...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/11
- 00:44
世に言うメンヘラみたいになったわたしは、あっという間に精神的なバランスを崩してランク外に落ちていった。 立場が人を作るって聞いたことがあるけど、立場を失うと自尊心とか希望も失って、ああ、なんかもうぜんぶどうでもいいや、みたいな気分になる。 気付けば戦力外。 少し前までは女王扱いされていたわたしは、そのままリストラになった。 25歳を過ぎたらババアの世界。 それはわたしが想像している以上に過酷だった...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/10
- 00:49
アスリート並みに気合を入れてトップを守り続けたけど、それでも首位陥落の日は来る。盛りを過ぎた格闘家が一回倒されるとポコポコ倒されるように、わたしは2位、3位と順位を下げると、あっという間にランキングの下り坂を落ちていった。 たいしてショックはなかった。来るべき日がとうとう来たかとか、そんな気分だった。わたしにしてはだいぶ持った方なのかな。肌も荒れ気味になったし、笑うと目じりに小さいシワができるの...
近況報告
- 2021/03/08
- 16:22
ちょっとだけ書ける時間があったので3,000字ぐらい書きました。現在27,000字ぐらい。まだ完成にはほど遠いですが、毎日400字ペースで書いていれば少なくとも年内には出せるだろうと。断片だけ公開していますが、不幸な女の話だけ思ったら大間違いです(笑)。おそらく次回作は男性限定ホラー小説というか、「鬼嫁探偵」からヒントを得た「男から見ると超怖い」みたいな視点の作品になるかなと。一つの出来事でも視点を変えたりする...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/08
- 01:28
わたしと彼には共通点があった。 それは、どちらもあらがえない不幸に見舞われたこと。 何度か会ううちに、彼はその生い立ちを語ってくれた。それは、想像を絶する人生だった。 彼は物心つくときには片親の家庭だった。 母親が身ごもった時、飲んだくれで暴力をふるう父親はこれから生まれてこようとしている彼の存在を知り、堕ろせと言った。 それに従わない母親にさんざん暴力をふるった父親は出ていき、そのまま姿を消し...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/06
- 00:36
そのうち、わたしも家庭を持ったりとか、そんなこともあるのかな、なんて。 だって、体の相性だったらこんなにいい。 わたしは幸せだった。 それがいびつでも。 それが虚構でも。 どうだって良かった。 愛って平等じゃない。 絶対に平等じゃない。 どれだけマジメに生きていたって、愛してもらえない人はいる。 それが過去のわたしだった。 父親にも、母親にも、本気で愛されたと思えた瞬間は無かった。 心はいつも空...
出すか出さないか微妙な新作の断片
- 2021/03/05
- 01:17
彼は数日後にまた店へ来た。この前に渡した割引券を持って。 うれしいな。好きってほっぺにチューしてあげる。照れる彼。かわいい。 どんな場であれ求められていないよりは求められている方がいい。指名してくれたなら、「うっかり」わたしを引いちゃった客よりも優遇して当たり前。 この日も個室で、店の人から隠れてパコパコ2回ヤる。使用済みのゴムはティッシュで包んでゴミ箱に捨てた。まずあさる人はいないでしょうって...
「嘘 Love Lies」書評
- 2021/03/02
- 01:05
久しぶりに書評記事です。今回読んだのは村上由佳の「嘘 Love Lies」。全然知らない作家でしたが、本屋で「切なすぎて悶え読み!!!」という帯に惹かれて読んでみました。そしたらこれが大当たり。 650ページ超えの長編にも関わらず、まったく長さを感じさせない作品でした。あらすじは中学生の刀根秀俊、桐原美月、中村陽菜乃、正木亮介が甘酸っぱい青春を繰り広げている中である事件が起こるのですが、それを機に4人の運命...
出すかどうか微妙な新作の断片
- 2021/03/01
- 00:00
まだリリースするか微妙な感じですが、次回作を順調に出すとすれば、筆名は月狂紫乃(つきぐるい しの)になるでしょう。設定は俺の妹(笑)。女性の視点なので、女性名義の方がいいだろうと、ただそれだけなんですけどね。おそらくルナシノって呼ばれるんじゃないかと(笑)。では断片を。 ある日、いつも通りにオッサンの家に上がりこんだ。シャワーを浴びて、濡れた身体をタオルで拭くと、そのままベッドに倒れこむ。脚をひら...