見る人は見られる人である inspired by 「コンビニ人間」
- 2016/07/30
- 00:31
芥川賞作の「コンビニ人間」を読んだ。村田沙耶香はもともと好きな作家だったので、かなり楽しんで読む事が出来た。彼女の作風はどちらかと言えば直木賞の方なんじゃないかと思っていたけど、実際に読んでみたら確かに純文学寄りの筆致になっていた。毎回思うのだが、クレイジー沙耶香の異名を持つ彼女は本当に容赦ない角度から人間を描いていると思う。描写そのもののエグさというよりは、人が突かれたら一番キツい(痛い)ところ...
新作「吾輩はクズである: 負の感情を読者に売りつけるメソッド」リリース他
- 2016/07/24
- 22:02
最近は忙しい。あんまり執筆出来ていないです。……とは言いつつも新作を出しました。タイトルは「吾輩はクズである: 負の感情を読者に売りつけるメソッド」ですね。以下、商品説明より 吾輩はクズである。 作家という生き物は己の中に飼っている負の感情というものをしばしば商売道具として具現化させる。そのプロセスがどのようなものなのか、また、それをどのように作品へと昇華させていくのか、負のエキスパートである吾輩が...
置き換えという罠
- 2016/07/22
- 13:49

私は自著やブログで教理の如く「小説がうまくなりたかったらとにかく書け」と言ってきましたが、そういう事を言っていると必ず「ただ書いていても上手くはならない」という声が上がります。まあ私に言わせれば「くだらねー事を言ってんじゃねーよ」というところでございます。というのも、自分が書き上げた物を客観的に見て、課題を見つけて自己研鑽するプロセスはあまりにも当たり前ですから、いちいち言うのも野暮ってもんでしょ...
エア対案
- 2016/07/21
- 16:06
風の噂で、月刊群雛がしばらく休刊する事を知りました。ある程度予想はしていましたが、中核になる人の負担が大き過ぎたのだと思います。まあ、後から好き勝手言うのもアレですが、やはり個人作家で文芸誌をやりたいのであれば、口を開けて待つだけの雛だと親鳥が疲れてしまいますね。炎上する前に本題へと入りますが(笑)、僭越極まりない事を承知の上で「こうすりゃいいじゃん」という対案があるので勝手に垂れ流していきます。...
「セルパブ!夏の100冊2016」なる電子書籍がリリース他
- 2016/07/19
- 23:53
すでにご存知の方も多いでしょうが、BCCKSというサイトにて「セルパブ!夏の100冊2016」なる電子書籍がリリースされました。ページはこちらこれは電子書籍界隈で活躍する個人作家を中心にしたカタログですね。価格はなんと無料でございまして、対談まで付いています。対談X① 堀田純司×波野發作対談X② 刈草亜美×伊藤なむあひ対談X③ 高橋文樹×山田佳江私も本著で「名無しの挽歌」をご紹介いただいております。こちらも...
金井エリ女史が「異世界幼女のペリリズム」をカクヨムにて発表!
- 2016/07/19
- 07:00
私の分人である金井エリさんからメッセージが届いていますのでご紹介いたします。ずいぶん前に発表されたカクヨムのコンテストに参加いたします。なんでもコンテストに優勝した者には賞金100万円と漫画化のご褒美があるということで。賞金が欲しいわたくしとしては参加しない理由などございません。コンテストの発表から2週間ほどで30,000字ほどの短編を書き上げました。珍しく異世界モノでございます。タイトルは「異世界幼女の...
ピリオド――「名無しの挽歌」望月レインの日記
- 2016/07/16
- 08:00
駅の改札前にいる。 今日はツイていない。事務所はすぐそこなのに、記録的な豪雨のせいで一寸先は汚らしいホワイトアウトになっている。走ればなんとかなりそうな気もするけど、ずぶ濡れになるのが嫌だったので、様子を見ながら雨宿りをしている。 バス停の方からは、哀れな犠牲者達が顔をしかめながら走ってくる。あの濡れ方から察するに、ここを強引に突っ切ろうとすれば悲劇が待っているに違いない。 ずぶ濡れになった夏服...
アラサーにダメージを与えるSS
- 2016/07/11
- 13:54
古い友人から電話があった。あの乱暴な女も、半年後にはママになるのだそうだ。「おめでとう」たしかに、心から言ったのだと思う。電話を切り、物思いに耽る。かつて隣にいた人は、今もどこかで元気にしているのだろうか。憂鬱さをごまかすためにテレビを付けた。参議院議員選挙に勝った今井絵里子が笑顔で映っている。彼女の隣には息子がいた。11歳なのだそうだ。反射的にテレビを切る。ペットボトルの水を飲んだ。潤いゆく喉の...
その人、痴漢です→からの「ジャスティス」無料配布
- 2016/07/09
- 00:11

「その人、痴漢です」「えっ……」 さっきまで復讐の炎に燃えていたワーナーは間抜けな声を出す。「その人に、痴漢をされました」「なんだと。それは本当か?」「え? 違……」「言い訳をするな! 貴様を逮捕する!」「痴漢は犯罪だ!」 わたしの機転で、ワーナーはあっという間に取り囲まれた。複数の警官にボコボコにされながら「違うんだ」とか「この卑怯者」とか言っていた気がするけど、彼はもっと卑劣なことをデイジーにやっ...
七夕
- 2016/07/07
- 23:20
短冊に願いを書いてみた。世界で最強の男になりたい!「その願い、叶えてやろう」ヌヌヌイ、何か聞こえたような……。翌日になると、なぜか男性ばかりが突然死する奇病が世界中で流行しだしました。私は何を間違えたのでしょうか?...
リトマス紙
- 2016/07/07
- 10:30
突然ですが、この度、わたくし月狂四郎は個人作家活動を終了する事に致しました。今まで応援していただいた方には感謝しています。同時に、身勝手な引退をどうかお許し下さい。引退の理由ですが、ご想像の通り個人作家界隈に渦巻く嫉妬と足の引っ張り合いに嫌になってしまったというのが主たる原因でございます。これより、私が本気で嫌だなと思った事をつらつらと書いていきます。長くはありますが積年の恨みつらみですから仕方の...
Backstage of 「地獄のリベンジメン」&「ゑぐゐ道徳」
- 2016/07/03
- 23:03
逃亡先から更新です。先日発売されました「地獄のリベンジメン」と「ゑぐゐ道徳」のトピックです。「地獄のリベンジメン」はひとまず順調に売れています。一部では「プロミス・リング」のような作品が読みたいという意見もあったようですが、アレもジャンルが複合しているのでどういう話が読みたいのかあんまり分からないところがあります。(感動する話がいいのか、恋愛物なのか、バトル物なのか)第一、「プロミス・リング」は私...
ピリオドは笑って打ちたい
- 2016/07/03
- 20:54
SASUKEを久しぶりに観た。というか観ている。完全制覇者の長野誠が引退した。44歳なのだそうだ。時の流れはあまりに早く、その残酷さは時として俺達を狂気に陥れる。長野の仲間が泣いていた。妻も泣いていた。彼は大の字で天を仰いでいた。たかだかアスレチックなのかもしれない。単なる無理ゲーなのかもしれない。でも、この胸に残る寂寥感は如何ともしがたい。笑って終わるのは難しい。笑顔で最後を迎えるのは本当に難しい。俺...
広橋悠氏「IMAGO」書評
- 2016/07/02
- 00:41
また一人天才を見つけてしまった。最初にこの作品を読んだ時、第一声はそんな言葉だった。私に衝撃を与えた作品名は「IMAGO」、個人作家の広橋悠氏の作品だった。かねてから彼の作品がすごいというのは噂に聞いていたので、無料配布時にダウンロードさせていただいた事がある。だけど、「どうも横書きらしい」という話を小耳に挟み、縦書きの方が好きなせいか、長い事放置していた。はっきり言って損をしていた。まあ能書きはいい...